{ "340000211_0": "セット・アップ", "340000211_1": "「よかった……。\\n 大丈夫ですか?」", "340000211_2": "「今……車が一瞬止まったような……」", "340000211_3": "「そ、そうですか……?」", "340000211_4": "「って、そんなわけないよねッ!\\n いやぁ、さすがに轢かれるかと――」", "340000211_5": "「……なんで……」", "340000211_6": "「え?」", "340000211_7": "「なんで、わたしのために……?」", "340000211_8": "「なんでって、そんなの、\\n 助けたかったからに決まってるよ」", "340000211_9": "「危なそうなところが見えて、思わず飛び出しちゃったんだよね。\\n 何かおかしい……?」", "340000211_10": "「おかしいです。別に、友達でもないし、\\n 自分も一緒に轢かれちゃったかもしれないのに……」", "340000211_11": "「うーん……、\\n だけど、何もしない方がきっと後悔すると思うし……」", "340000211_12": "「……と、そんなことより大丈夫? 立てそう?\\n ほら、わたしの手をとって――」", "340000211_13": "「――ッ!」", "340000211_14": "「助けていただいてありがとうございました。\\n わたしは大丈夫ですから。それじゃあ――」", "340000211_15": "「……」", "340000211_16": "「……」", "340000211_17": "「……なんだか心配だけど、\\n 走れるってことは、きっと怪我はなかったってことだよね」", "340000211_18": "「あなたは、あの子のお友達?」", "340000211_19": "「い、いえッ!\\n わたしもあの子を見つけて、助けようと思って――」", "340000211_20": "「だけど、わたしは間に合わなくて……。\\n あの子が助かったのは、お姉さんのおかげです」", "340000211_21": "「わたし、お姉さんッ!?」", "340000211_22": "「はい、ありがとうございましたッ!」", "340000211_23": "「……エヘヘ、どういたしまして」", "340000211_24": "「響ッ!」", "340000211_25": "「なのはッ!」", "340000211_26": "「大丈夫……?」", "340000211_27": "「……」", "340000211_28": "「どういう状況なんやろ、これは……」", "340000211_29": "「この子たちは、立花の知り合いなのか?」", "340000211_30": "「いえいえ、さっき会ったところです。\\n えっと、順を追って話しますと……」", "340000211_31": "「なのはちゃん」", "340000211_32": "「フェイトちゃん」", "340000211_33": "「はやてちゃんって言うんだね。\\n 初めましてッ!」", "340000211_34": "「よろしくお願いします」", "340000211_35": "「……なのはちゃんとちょっとはぐれた隙に、\\n そんなことがあったんやなぁ」", "340000211_36": "「なのは以外にも、人助けのためにそこまで\\n 無茶をする人がいるんだね」", "340000211_37": "「助けが必要な人を見つけたら、考える前に身体\\n が動くなんて、確かにそっくりや」", "340000211_38": "「なのはちゃんも、人助けがモットーなんだね」", "340000211_39": "「はい、困っている人がいて、助けてあげられる力があるなら、\\n その時は迷っちゃいけないって」", "340000211_40": "「だけど、心配だよ。もしそれで怪我をしたりしたら……」", "340000211_41": "「……」", "340000211_42": "「言っていることはもっともだが、\\n 立花がそれを言うか……?」", "340000211_43": "「なのはちゃんにお姉さんって言われて\\n 嬉しくなっちゃったんでしょう」", "340000211_44": "「う、図星……」", "340000211_45": "「だ、だって、なのはちゃんって可愛くてッ!\\n つい護ってあげたくなっちゃうよ」", "340000211_46": "「ふええッ!?\\n そ、そうですか……?」", "340000211_47": "「フフ、響さんは楽しいお姉さんやね」", "340000211_48": "「うん、とても」", "340000211_49": "「響、それじゃ、そろそろ行こっか。\\n なのはちゃんたちのこと、あんまり長く引き留めても悪いし」", "340000211_50": "「あ、そういえば帰る途中なんだったッ!\\n それじゃ、バイバイ。また会えるといいねッ!」", "340000211_51": "「はいッ!」", "340000211_52": "「本当にいい子たちだったね」", "340000211_53": "「ああ、立花が護ってあげたいと言うのもわかる」", "340000211_54": "「はい、また会えるといいな……」", "340000211_55": "(それから、もう1人の、あの女の子……)", "340000211_56": "「……なんで……」", "340000211_57": "「え?」", "340000211_58": "「なんで、わたしのために……?」", "340000211_59": "(なんだかすごく、悲しそうでいっぱいいっぱいに見えた)", "340000211_60": "(わたしの気のせいだったらいいんだけど、\\n 少し、気になるな……)" }