{ "333000311_0": "影から世界を護る者たち", "333000311_1": "「さあ、メシがまだだったなッ!\\n リクエストはあるかッ!?」", "333000311_2": "「待って、\\n ……さっきの治療がまだ」", "333000311_3": "「心配してくれるのは嬉しいけど、\\n こんなのメディカルルームに行くほどのことじゃないって」", "333000311_4": "「はあ……仕方ない」", "333000311_5": "「それなら部屋で診るから」", "333000311_6": "「わかったよ」", "333000311_7": "「怪我、見せて」", "333000311_8": "「本当に大丈夫なんだけどなぁ……」", "333000311_9": "「信用できない」", "333000311_10": "「クリスが、オレを信じてくれない……。\\n なんだか悲しい……」", "333000311_11": "「昔、骨が折れてたのに、大丈夫だって言って、強がって……、\\n そして、修行の途中で、倒れた」", "333000311_12": "「う……、そ、それは……」", "333000311_13": "「わたし、すごく心配したんだよ」", "333000311_14": "「……ごめんなさい」", "333000311_15": "「わかれば、いい」", "333000311_16": "「それにしても、懐かしいなー。\\n 先生との修行。あの頃は、怪我ばかりしてたよな」", "333000311_17": "「うん、すごくきつい修行だったもんね」", "333000311_18": "「はあッ!」", "333000311_19": "「――くッ!」", "333000311_20": "「翼ッ! 身体の重心がぶれているぞッ!\\n それでは、蹴りの威力も半減してしまう」", "333000311_21": "「はいッ!」", "333000311_22": "「クリスッ! 動きを目で追おうとするなッ!\\n 大気の流れと地面の振動を身体で感じるんだッ!」", "333000311_23": "「わ、わかりましたッ!」", "333000311_24": "「いいか、これからの未来は、\\n お前たちのような若い者たちが繋いでいくんだ」", "333000311_25": "「そのために、俺の全てをお前たちの心と身体に叩き込んでやる。\\n 泣き言を言っている暇なんてないぞッ!」", "333000311_26": "「わかったかッ!」", "333000311_27": "「はいッ!」", "333000311_28": "「確かに、きつい修行だったな……、\\n だけど、さ」", "333000311_29": "「うん、楽しかった」", "333000311_30": "「ああ」", "333000311_31": "「…………」", "333000311_32": "「翼?」", "333000311_33": "「……オレたちは、まだ、先生に習うべきことが沢山あったんだ」", "333000311_34": "「なのに……先生は……」", "333000311_35": "「…………」", "333000311_36": "「先生がやり残したこと、絶対にオレが成し遂げてやるッ!」", "333000311_37": "「先生のためにッ!\\n それがオレのやるべきことなんだからッ!」", "333000311_38": "「……ねえ、翼、先生は……」", "333000311_39": "「ん? どうしたクリス?」", "333000311_40": "「……ううん」", "333000311_41": "「怪我の治療、終わったよ」", "333000311_42": "「おッ! サンキューッ!」", "333000311_43": "「なんだか、痛みが全部消えた気がするよ。\\n これもクリスの愛の力かな?」", "333000311_44": "「バカ……」", "333000311_45": "「今度から、怪我したらちゃんと言ってね。約束」", "333000311_46": "「わかったよ」", "333000311_47": "「それじゃ、メシにしようッ!」", "333000311_48": "「うん」", "333000311_49": "(翼のやるべきこと……、\\n それは、本当に先生が望んでいることなのかな……)", "333000311_50": "「まだやつらの尻尾は掴めませんか?」", "333000311_51": "「我々も全力で探してはいるのだが……、\\n とても順調とは言い難い」 ", "333000311_52": "「かくれんぼは得意ってことかよ……ッ!」", "333000311_53": "「やはり、それなりに力のある組織ということか……。\\n だが……」", "333000311_54": "「…………」", "333000311_55": "「何か気になることでも?」", "333000311_56": "「現時点で向こうのアジトを特定することは難しいが、\\n 身柄を押さえることは可能かもしれない」", "333000311_57": "「どういう意味だ?」", "333000311_58": "「ヴィマーナが狙われる可能性がある」", "333000311_59": "「ヴィマーナ……そうか――」", "333000311_60": "「あいつのヤントラ・サルヴァスパを使って、\\n 制御しようってのか……」", "333000311_61": "「そうだ。敵組織がシャロンを攫った目的は今の所不明だが、\\n もしシャロンを利用することを考えているならば――」", "333000311_62": "「次はヴィマーナを狙うはず」", "333000311_63": "「一刻の猶予も無い中、\\n 来るかわからぬ敵を待ち構えるというのも歯がゆいが……」", "333000311_64": "「何もしないよりずっとマシだッ!」", "333000311_65": "「しかし、君たちはまだ、\\n S.O.N.G.から許可を得ていないのでは?」", "333000311_66": "「そんなこと言ってる場合かよッ?」", "333000311_67": "「シャロンを見捨てるなどできませんッ!」", "333000311_68": "「感謝する……」", "333000311_69": "「司令、こんな時ですがノイズの反応を検知しましたッ!\\n 位置特定、モニターに出します」", "333000311_70": "「……ッ! だが、特異災害への対策こそ二課の本分だ。\\n すぐにオートマシンの出撃をッ!」", "333000311_71": "「了解です。\\n 避難誘導も開始します」", "333000311_72": "「人命の救助が最優先だ。\\n 修理中の機体も出せるだけ出し、時間を稼いでくれッ!」", "333000311_73": "「オートマシンだけじゃ無理だろッ!」", "333000311_74": "「わたしたちにもお手伝いをさせてください」", "333000311_75": "「だが――」", "333000311_76": "「あたしらに任せとけってッ!」", "333000311_77": "「すまない、ならば頼らせてもらう」", "333000311_78": "「はい。\\n 行くぞッ、雪音ッ!」", "333000311_79": "「ああッ!」" }