{ "328000932_0": "「はあ――ッ!!」", "328000932_1": "「貴様、この前よりも力を上げたかッ!」", "328000932_2": "「成る程、そのRN式とやらの力、\\n 少しは使いこなせるようになったようだなッ!」", "328000932_3": "「それだけではありませんッ!」", "328000932_4": "「あなたの野望を知り、倒さねばならないと、\\n そう固く誓ったんですッ!」", "328000932_5": "「くだらぬッ! 感情などで力が増すものかッ!」", "328000932_6": "「くうッ!?」", "328000932_7": "「貴様は一体修行で何を学んだのだッ!\\n 感情は理性を蝕み、任務の失敗を招くのみッ!」", "328000932_8": "「忍びとは、刃で心を抑えつけるものぞッ!」", "328000932_9": "「違いますッ!」", "328000932_10": "「忍びとは、心が刃を支えて初めてその形を成すッ!\\n 心なき刃は、最早ただの兇刃にすぎませんッ!」", "328000932_11": "「忍びを捨てた軟弱者ごときが、賢しらに説教かッ!」", "328000932_12": "(これが当代随一の忍び同士の戦い……)", "328000932_13": "(極限まで鍛えた体術と忍術の交錯する中に、\\n わたしが割って入れる隙など到底ない……)", "328000932_14": "「確かに僕は草薙を捨てました……。\\n しかし今は父と兄に代わり、あなたを止めてみせるッ!」", "328000932_15": "「口だけならば、なんとでもほざけるわッ!」", "328000932_16": "「はあ――ッ!!」", "328000932_17": "「くう――ッ!」", "328000932_18": "「RN式の力を借りて尚、その軽さかッ! 口ほどにも――」", "328000932_19": "「むッ!?」", "328000932_20": "「くッ、まだこれほどの術を――ッ!?」", "328000932_21": "「今ですッ!!」", "328000932_22": "「はいッ!」", "328000932_23": "「狙いは天叢雲剣かッ!?\\n ――させんッ!」", "328000932_24": "「なッ!? 空蝉――ッ!?」", "328000932_25": "「食らうがいいッ!」", "328000932_26": "「くうッ!?」", "328000932_27": "「翼さんッ!」", "328000932_28": "「だ、大丈夫です……。\\n 危ないところでしたが、急所は外しました……」", "328000932_29": "「大人しく両断されていればいいものを。\\n しかし、もう打つ手もあるまい」", "328000932_30": "「……」", "328000932_31": "(オロチに狙いが看破されてしまった以上、\\n もう隙を作るのは難しい……)", "328000932_32": "「さあ、決着をつけよう。\\n だがその前に――」", "328000932_33": "「これ以上忍び同士の戦いの場を、\\n そんな小娘にひっかき回されたくはないのでな……」", "328000932_34": "「役割の終わった前座には退場してもらおう」", "328000932_35": "「翼さんッ! 僕が時間を稼ぎますッ!\\n だから離脱を――」", "328000932_36": "「……いえ、わたしも戦います」", "328000932_37": "「相手はアルカ・ノイズですッ!\\n ギアの無いあなたでは――」", "328000932_38": "「大丈夫ですッ! ギアなら……ここにッ!」", "328000932_39": "「――翼さん、受け取ってくださぁぁぁいッ!!」", "328000932_40": "「Imyuteus amenohabakiri tron――」", "328000932_41": "「立花……感謝するぞッ!」", "328000932_42": "「更に装者が増えるだと……?\\n それに、砕いたはずのシンフォギアまで……」", "328000932_43": "「くッ! だが、それがなんだッ!\\n もう一度、今度は完膚なきまでに破壊してくれるッ!」", "328000932_44": "「さあ、アルカ・ノイズ共ッ!\\n こいつらに地獄を見せてやれッ!」", "328000932_45": "「立花ッ! 援護を頼めるかッ!?」", "328000932_46": "「はいッ!\\n アルカ・ノイズはわたしがッ!」", "328000932_47": "「オロチの動きを、封じるッ!」", "328000932_48": "「効くかッ! 今更、影縫いなどッ!」", "328000932_49": "「果たして、どうでしょうか?」", "328000932_50": "「な……躱したはずの影縫いがッ!?\\n まさか、忍びでもない者が、何故ッ!?」", "328000932_51": "「取ったぞッ! オロチッ!\\n 天叢雲剣、もらい受けるッ!」", "328000932_52": "「くッ!」", "328000932_53": "「くッ……あああああああッ!!!」", "328000932_54": "「な、何が起きているッ!?」", "328000932_55": "「翼さんッ! どうしたんですかッ!!」", "328000932_56": "「緒川さんッ! 翼さんの握っているあの剣は――ッ!?」", "328000932_57": "「あれは、天叢雲剣です。\\n 僕たち草薙に伝わる、宝剣にして、聖遺物――」", "328000932_58": "「……それじゃ、聖遺物同士の反発ッ!」", "328000932_59": "「くッ……この力は……。\\n 身体中が切り刻まれるようで――あああああッ!」", "328000932_60": "「わたしは、負けた……」", "328000932_61": "「オロチによって、二度も剣を折られた……」", "328000932_62": "「簡単に砕けてしまう剣。\\n 剣を折られるということは、誇りを折られること」", "328000932_63": "「どんなに言葉を重ねても、それが真実だ」", "328000932_64": "「そんなことはないッ!\\n 護国を成すための誇りはいつでもこの胸にあるッ!」", "328000932_65": "「先人はその誇りを護り、一振りの刀を生涯振るい続けた。\\n でも、わたしはその刀すら折られてしまった」", "328000932_66": "「それは――」", "328000932_67": "「わたしは、負けを許容していた。\\n 剣を折られることの意味を、軽く考えていた」", "328000932_68": "「……」", "328000932_69": "「わたしの誇りは、どこにあるのか……?」", "328000932_70": "(誇り……防人の、わたし自身の誇りの在処……)", "328000932_71": "「わたしは――あああああ――ッ!!\\n くッ!!」", "328000932_72": "「はあッ、はあッ、はあッ……くッ……」", "328000932_73": "「翼さんッ! 大丈夫ですかッ!」", "328000932_74": "「なんだ今のは……?」", "328000932_75": "「まあいい、どうやらこの天叢雲剣の主として、\\n 貴様は不適当のようだな」", "328000932_76": "(そうなのか……?\\n わたしでは、護国の剣の主には――)", "328000932_77": "「そんなことはありませんッ!\\n あの目……護国を志す者の瞳の輝きが翼さんにはあるッ!」", "328000932_78": "「そんなものがなんの役に立つッ!\\n 俺は選ばれ、小娘は選ばれなかった。それが答えだッ!」", "328000932_79": "「野望に目をくらませたあなたを、\\n 草薙の神宝が認めるはずがありませんッ!」", "328000932_80": "「あなたはその剣の力を断じて引き出せてなどいませんッ!」", "328000932_81": "「ならば貴様らを斬って証明してやろうッ!」", "328000932_82": "(証明……そうだ。わたしは証明しなくては。自らの誇りを。\\n もう二度と、こんな者に砕かせはしないと――ッ!!)", "328000932_83": "「くッ……この数、無尽蔵ですかッ!?」", "328000932_84": "「そう思うのも無理はない。\\n 同じ忍びだ。よもや卑怯とも言うまい」", "328000932_85": "「貴様の相手は、わたしがさせてもらう」", "328000932_86": "(わたしは証明しなくてはならない。\\n この天羽々斬と共に、自身の誇りを――)", "328000932_87": "「また剣を折られたいようだな。\\n 三流の小娘が……」", "328000932_88": "「……わたしへの侮辱は甘んじて受け取ろう。\\n 確かに剣を折られるなど、防人の名折れ」", "328000932_89": "「自身の剣のみならず、先人の思いの籠った刀まで\\n 砕かれたわたしは、三流と言われても仕方がない」", "328000932_90": "「急にどうした?\\n 命乞いなら聞かぬぞ?」", "328000932_91": "「わたしの誇りの在処。それがようやくわかった。\\n 誇りは、この天羽々斬と共にあるもの」", "328000932_92": "「それはあの日貴様に砕かれたまま……。\\n それでも、この手に再び天羽々斬が戻ってきた」", "328000932_93": "「誇りは未だ砕けたまま……だから、わたしは今度こそ\\n 貴様を倒してそれを取り戻すッ!」", "328000932_94": "「倒す? 貴様風情が1人で?\\n あれだけ痛めつけられても、身の程を理解しないとはな……」", "328000932_95": "「いいだろう。\\n その大層な誇りとやらを、その剣と共に折り砕いてやる」", "328000932_96": "「この剣は天叢雲剣。\\n 何度挑んでこようとも、天羽々斬では勝てぬ」", "328000932_97": "「……いざ、参るッ!」", "328000932_98": "「聞く耳持たずか。\\n ならば剣と共に砕け散れッ!!」", "328000932_99": "「……」", "328000932_100": "「……」", "328000932_101": "「なんだと……天叢雲剣がッ!?」", "328000932_102": "「この剣は、天羽々斬にあって天羽々斬に非ず。\\n 先人より受け継いだ防人の、護国の誇りの刃……」", "328000932_103": "「志無き、貴様の刃などに折られるような物ではないッ!!」" }