{ "328000612_0": "「はああ――ッ!!」", "328000612_1": "「アルカ・ノイズを斬り捨てただと? その剣は――」", "328000612_2": "「いや、確か先刻、緒川は小娘に、二課の者と言ったな」", "328000612_3": "「だとしたら、なんだ?」", "328000612_4": "「フフ……なるほど。二課め、RN式回天特機装束以外にも、\\n 対アルカ・ノイズ兵装を完成させていたとはな」", "328000612_5": "「……」", "328000612_6": "「確か、適合者不在で未完成に終わったという聖遺物兵器の名は……、\\n そう、シンフォギアシステムと言ったか?」", "328000612_7": "「何が可笑しい?」", "328000612_8": "「フ……いやなに、少々感心したまでよ。\\n 政府機関にも未報告の戦力を密かに保有しているとは」", "328000612_9": "「風鳴弦十郎、噂と違い、なかなか腹に一物ある男よな」", "328000612_10": "「風鳴司令がその様な腹芸を使う人だと思ったかッ!」", "328000612_11": "「ならば、貴様の纏うそれは、どう説明するのだ?」", "328000612_12": "「ッ……お前に語る筋合いはないッ!」", "328000612_13": "「フン……歳に似合わず、傲慢な娘よ」", "328000612_14": "「しかも、風鳴翼と言ったな?\\n 風鳴の家にその様な者がいるなど、今まで聞いたことがない」", "328000612_15": "「シンフォギアシステムだけでなく、それを操るお前の様な\\n 小娘も秘蔵していようとは……」", "328000612_16": "「だが天敵のシンフォギアが相手では、\\n アルカ・ノイズでは役者不足のようだ」", "328000612_17": "「故に、この俺が直々に相手をしてやるとしようッ!」", "328000612_18": "「剣の扱いなら負けはしないッ!」", "328000612_19": "「それが傲慢だと――」", "328000612_20": "「はああ――ッ!!」", "328000612_21": "「――言っているのだッ!」", "328000612_22": "「なん、だと……?」", "328000612_23": "「ただ一合触れただけで、刃が欠けたッ?」", "328000612_24": "「その剣は、一体――」", "328000612_25": "「フ……」", "328000612_26": "「我が剣閃、受けられるかッ!?」", "328000612_27": "「くうッ!!」", "328000612_28": "「なッ!? 天羽々斬が――」", "328000612_29": "「折れた、だとッ!?」", "328000612_30": "「フハハハハッ! 脆い、脆すぎるぞッ!」", "328000612_31": "「ああああ――――ッ!?」", "328000612_32": "「――ぐはッ!!」", "328000612_33": "「大丈夫ですかッ!?」", "328000612_34": "「ギ……ギアが……、\\n まずい、このままでは……」", "328000612_35": "(やむをえない……、一旦ギアを解除……)", "328000612_36": "(ペンダントにヒビが……ッ!)", "328000612_37": "「シンフォギアとやらも、この程度か。\\n くだらんオモチャに過ぎんな……」", "328000612_38": "「まだ……わたしは倒れていないッ!」", "328000612_39": "「武器も無い、小娘1人がいきがるでないわッ!」", "328000612_40": "「――やらせませんッ!」", "328000612_41": "「貴様、まだ動けたか……」", "328000612_42": "「しかし、助っ人が足手纏いに変わるとはな。\\n お前には同情するぞ」", "328000612_43": "(オロチの言う通りだ……。\\n この場において、戦う術を失ったわたしは足手纏い……)", "328000612_44": "(なんと無様なことか……)", "328000612_45": "「緒川さん、申し訳ありません……」", "328000612_46": "「謝る必要はありません。\\n あなたのおかげで回復できました」", "328000612_47": "「それで、そのなけなしの体力でこの俺を倒せると\\n 思うのか?」", "328000612_48": "「……」", "328000612_49": "「気休めは不要です。\\n わたしのことは気にしないでください」", "328000612_50": "「いいえ。そんなことはできません」", "328000612_51": "(僕を助けに来たこの少女を見殺しにしては、\\n 僕はオロチと同じになってしまう――)", "328000612_52": "(……それだけは、我慢なりません。\\n 例え他の何を諦めようと――)", "328000612_53": "「どうした? 来ないのか?\\n この世への別れが惜しいなら、もう少し時間をやってもいいが」", "328000612_54": "「くッ……、忍びに情けは不要です」", "328000612_55": "「フン、つまらん。……ならばいいだろう、\\n 俺がこの国を牛耳る糧となれ」", "328000612_56": "(この国を牛耳る? 一体、何を企んで――)", "328000612_57": "「そんなこと、させるものかッ!\\n わたしは防人……この国を、人を護る者だッ!」", "328000612_58": "「……防人、だと?」", "328000612_59": "「クックック……ハーッハッハッハッ!\\n 笑わせてくれる」", "328000612_60": "「何を笑うッ!」", "328000612_61": "「分際を弁えろッ!\\n 戦うこともできぬ弱者がッ!」", "328000612_62": "「ッ!?」", "328000612_63": "「防人、護国、それは貴様程度の者が\\n 口にしていい言葉ではないッ!」", "328000612_64": "「便利なオモチャを駆るしか能のない小娘は黙っていろッ!」", "328000612_65": "「くッ……」", "328000612_66": "(わたしは……なんと無力なのか……ッ!)", "328000612_67": "「……あなたこそ、偉そうに言える立場ではないでしょう」", "328000612_68": "「フン……今はな。だが、もうすぐ俺の正しさは証明される。\\n 戦にまみれた、忍びの世界の到来によってな……」", "328000612_69": "(忍びの世界……? 一体……)", "328000612_70": "「もっとも、お前たちはそれを生きて見届けることは\\n できないだろうが」", "328000612_71": "「問答にも飽きた。もう、冥途の土産も十分だろう」", "328000612_72": "「くッ……」", "328000612_73": "(隙が無い……。\\n 今仕掛けても即座に両断されてしまう……)", "328000612_74": "(わたしには……何もできないのかッ!)", "328000612_75": "「むッ? 今度はなんだッ!?」", "328000612_76": "(今だッ!)", "328000612_77": "「ゲホッゴホッ! え、煙幕かッ?」", "328000612_78": "「脱出します。掴まってくださいッ!」", "328000612_79": "「はいッ!!」" }