{ "326001531_0": "「――ってことで、無事解決したよ」", "326001531_1": "「こちらにもご心配をおかけしました……」", "326001531_2": "「いいのよ、そんなこと。あ、そうだ。お礼代わりに、\\n いろいろ検査させてもらってもいいかしら?」", "326001531_3": "「うえええッ!?」", "326001531_4": "「前からあなたの身体には、興味があったのよね。\\n あの爆発力はどこから来るのかって――」", "326001531_5": "「そ、その……ひ、暇ができた時でッ!」", "326001531_6": "「フフ、楽しみにしてるわ」", "326001531_7": "「うう……はい……」", "326001531_8": "「なんにしても、無事で何よりだ」", "326001531_9": "「はい、師匠ッ!」", "326001531_10": "「いや……。俺は君の師匠ではないのだが……」", "326001531_11": "「あわわわッ!? 間違えたッ!」", "326001531_12": "「フフ、すっかりいつもの調子ね。\\n ところで、これ。助かったわ、ありがとう」", "326001531_13": "「ああ、ガングニールね。\\n 役に立ったみたいでよかったわ」", "326001531_14": "「ええ。役に立ったどころか、これが無かったら、\\n 解決できなかったかもしれない……」", "326001531_15": "「そういえば……」", "326001531_16": "「どうかした?」", "326001531_17": "「いや……そのガングニールの破片、\\n 出所は、一体どこなんだ?」", "326001531_18": "「俺の知る限り、\\n 二課で保有しているのは奏のもの1つだけだったはずだが……」", "326001531_19": "「ああ、それなら私宛に送られてきたのよ。\\n 錬金術師協会のお偉いさんから、プレゼントだって」", "326001531_20": "「なッ……そんなことがあったのかッ!?」", "326001531_21": "「そうよ、開けてみて驚いたわ。\\n プレゼントってことだから、ありがたく貰ったんだけどね」", "326001531_22": "「というわけで、奏ちゃん用の予備にしようかと思って、\\n 作っていたのよ」", "326001531_23": "「そ、それでいいのかしら……?」", "326001531_24": "「……まあ、了子さんだしな……」", "326001531_25": "「確かに了子さんらしいですね」", "326001531_26": "「いや、それだけで済まされる問題ではないぞ……」", "326001531_27": "「そう?」", "326001531_28": "「……政府にそのガングニールの出所はどう説明するんだ?」", "326001531_29": "「うーん、そうねー、どうしましょう?」", "326001531_30": "「錬金術師協会との協力は非公式だ。\\n 政府でも我々に近い、ごく一部の者しか知らない……」", "326001531_31": "「そ、それはマズそうね……」", "326001531_32": "「ものが聖遺物なだけに、所持がバレれば出所の追及は\\n 避けられないだろう……。頭の痛い問題だ……」", "326001531_33": "「もう、弦十郎くんったら真面目ね。\\n そんなの隠し持っていれば、わからないじゃない?」", "326001531_34": "「隠して見つかったら、もっと問題が大きくなるんだッ!」", "326001531_35": "「なあ……ちょっと思ったんだけどさ。\\n あくまで予備なんだよな、これ」", "326001531_36": "「ええ、そうよ。機能的にもなんら違いはないわ」", "326001531_37": "「なら無理に2つ持っていても仕方ないし、それならいっそ、\\n 貸したままでいいんじゃないか?」", "326001531_38": "「なるほど……ッ!」", "326001531_39": "「ちょっと、聖遺物をそんな気軽に――」", "326001531_40": "「んー、それ、いいんじゃない?」", "326001531_41": "「ええッ!?」", "326001531_42": "「確かに、預け先が並行世界なら、\\n 探すのも検知することもできない」", "326001531_43": "「仕方ない、今回は特例中の特例として、\\n 一時的にS.O.N.G.に預けさせてもらおう」", "326001531_44": "「ええええッ!? 本当にッ!?」", "326001531_45": "「心配しないでいい。\\n S.O.N.G.への依頼状は俺の方で用意しよう」", "326001531_46": "「いや、そういうことでは……」", "326001531_47": "「……なんだか妙なことに巻き込まれた気がするわ……」", "326001531_48": "「いいじゃないか。あって困るものじゃないだろ?」", "326001531_49": "「……わかったわ。それじゃしばらく借りておくわね」", "326001531_50": "「あ、そうだ。奏さん……」", "326001531_51": "「ん? どうしたんだい?」", "326001531_52": "「あの、助けてくれて本当にありがとうございました」", "326001531_53": "「『絆がある限り、わたしは1人じゃない』って、\\n あの言葉があったからわたしは勝つことができました」", "326001531_54": "「……あたしは、そんなこと言った覚えはないぞ」", "326001531_55": "「え……?」", "326001531_56": "(……それじゃ、\\n あのツヴァイウィングのライブ会場にいた奏さんは……)", "326001531_57": "「――どうしたッ!」", "326001531_58": "「ノイズと思われるエネルギー反応を検知ッ!」", "326001531_59": "「奏ッ! 行けるなッ!」", "326001531_60": "「もちろん」", "326001531_61": "「わたしたちも手伝いますッ!」", "326001531_62": "「ええ、この子を助けてもらった借りもあるしね」", "326001531_63": "「――なら、三本槍で出撃と行こうかッ!」", "326001531_64": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」", "326001531_65": "(……今はもう、胸に埋め込まれたガングニールは無いけど、\\n それでも奏さんは――)", "326001531_66": "(ずっとわたしの中で、見護ってくれていた)", "326001531_67": "(ありがとうございます……。奏さん……)", "326001531_68": "「さあ、それじゃ、暴れようかッ!」", "326001531_69": "「はいッ!」", "326001531_70": "「あなたは、病み上がりなんだし、無理はしないようにね」", "326001531_71": "「大丈夫ですッ!\\n もう体調はバッチリなのでッ!」", "326001531_72": "「本当かしら……」", "326001531_73": "「それより、マリアさんもガングニールなんですねッ!」", "326001531_74": "「このメンツで、そうしない理由はないでしょ?」", "326001531_75": "「なんだかんだ言って、気に入ってるんじゃないか」", "326001531_76": "「それじゃ、行きましょうッ!\\n わたしたち、ガングニールトリオでッ!」", "326001531_77": "「その名前は決定なのッ!?\\n ちょっと考えさせてちょうだいッ!」", "326001531_78": "「ハハ、賑やかなもんだね」", "326001531_79": "「――それじゃ、三本槍、行きますッ!」" }