{ "324000611_0": "援軍到着", "324000611_1": "「……入っても構わないか?」", "324000611_2": "「どうぞ」", "324000611_3": "「あの子は不在か」", "324000611_4": "「ええ、それで、なんの用かしら。\\n ん、それは……?」", "324000611_5": "「保存食にも飽きただろう」", "324000611_6": "「村人が食料を分けてくれたので、我が部隊の\\n 料理長がシチューを作った。よかったらと思ってね」", "324000611_7": "「ニューイングランド料理が口に合うかは\\n わからないが」", "324000611_8": "「あら、急に態度を軟化させて。\\n 私をどうするか結論が出たの?」", "324000611_9": "「何もしない、それが上層部の結論だ」", "324000611_10": "「そう」", "324000611_11": "「Dr.サクライ、あなたの能力は誰もが認めるもの。\\n だからこそ、友好的に今後の協力を頼みたい」", "324000611_12": "「隠しごとをやめて、相応しい態度を見せてくれるのなら\\n 協力は元よりやぶさかではないのだけど?」", "324000611_13": "「フ、こちらには隠していることなど何もないさ」", "324000611_14": "「その割には渋い顔をしてるわよ」", "324000611_15": "「軍人っていうのは戦地での経験から、\\n 渋い顔が染み付いていくものだ」", "324000611_16": "「そういうことにしておいてあげましょうか。\\n あの子も味方陣営で要らぬ諍いは望まないだろうし」", "324000611_17": "「それは、我々も同じだ」", "324000611_18": "「ともかく――」", "324000611_19": "「おい、持ってきてくれッ!」", "324000611_20": "「はッ、隊長」", "324000611_21": "「これは……」", "324000611_22": "「最新型のAD兵器のサンプルだ。\\n 自由に役立ててくれて構わない」", "324000611_23": "「それと、十分とはいかないだろうが、\\n ある程度の機材も提供する。自由に使ってくれ」", "324000611_24": "「頂いておくわ」", "324000611_25": "「では、俺たちはこれで――」", "324000611_26": "「帰る前に、2つ。\\n 私からも伝えたいことがあるわ」", "324000611_27": "「なんだ?」", "324000611_28": "「状況の全容によっては、私たちが\\n 探り合いをしている場合ではないかもしれない」", "324000611_29": "「…………」", "324000611_30": "「それだけは覚えておくべきよ」", "324000611_31": "「……わかっている」", "324000611_32": "「それで、もう1つは……?」", "324000611_33": "「シチューと機材をありがとう」", "324000611_34": "「ああ」", "324000611_35": "「……あたしは、どうしたいんだ?」", "324000611_36": "「…………」", "324000611_37": "(あの2人の元を離れるのが辛い、\\n そう感じてるあたしがいる)", "324000611_38": "(本当のパパとママじゃないってのはわかってる、だけど)", "324000611_39": "(違った世界で、いなくなっちまった人に出会って、\\n 悩んだり考えたりしたのは)", "324000611_40": "(あたしだけじゃないだろ?)", "324000611_41": "(当然、元の世界のみんなだって忘れてない。\\n あいつらが心配してるってこともわかってるッ!)", "324000611_42": "(なんにも連絡せずに飛び出して、\\n 帰って来ないんだからな……)", "324000611_43": "「だけどッ、こんな状況で\\n バルベルデを離れられるかよ……ッ!?」", "324000611_44": "「て、敵襲だあーッ!」", "324000611_45": "「くそッ、こいつらには塹壕も無意味かッ!」", "324000611_46": "「――考えるのは後回しだな」", "324000611_47": "「Killter Ichaival tron――」", "324000611_48": "「今はとにかくアルカ・ノイズを倒して、\\n 村を安全にしてからだッ!」" }