{ "370000121_0": "特殊部隊APPLE司令部より発令", "370000121_1": "当部隊隊長『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』及び", "370000121_2": "副隊長『セレナ・カデンツァヴナ・イヴ』は、", "370000121_3": "隊規を著しく乱したため現時刻を以て、これを更迭する。", "370000121_4": "「もう……これ以上は無理なのよッ!」", "370000121_5": "「隊長ッ! 今辞めたら、あたしたちのこれまでの努力が\\n 水の泡になるっスッ!」", "370000121_6": "「知らないわよッ!」", "370000121_7": "「そんなぁ……いくら隊長でも冷たすぎるっスッ!\\n なんとか考え直してほしいスッ!!」", "370000121_8": "「ナツミ、聞き分けなさいッ!\\n これは隊長命令よッ!」", "370000121_9": "「隊長ッ!\\n ちょっと待って――」", "370000121_10": "「ナツミ……最後通牒だと思って受け入れなさい。\\n 命令に背くのなら……わたしの手で処分してあげるわ」", "370000121_11": "「――ッ!」", "370000121_12": "「…………」", "370000121_13": "前隊長マリアは、", "370000121_14": "『隊員たちの故郷たる、世界蛇による被災世界を救済する』", "370000121_15": "という、我が特殊部隊APPLEの設立憲章を覆す決定を下した。", "370000121_16": "更には艦の通信履歴より、", "370000121_17": "前副隊長による敵性組織への不可解なアクセスログを発見。", "370000121_18": "両名は、敵性組織による工作員である嫌疑が発生した。", "370000121_19": "「おいッ!\\n 隊長……いや、前隊長はいたかッ!」", "370000121_20": "「いえ……」", "370000121_21": "「本当だろうなッ!\\n 間違っても匿おうなどと考えるんじゃないぞッ!」", "370000121_22": "「本当ですッ! 隊長も副隊長も見ていませんッ!\\n でも……一体、何が起こっているんですか?」", "370000121_23": "「……知っていることは、俺もお前と似たようなものだ。\\n 正直に言うと、よくは分からん」", "370000121_24": "「それなら――ッ!」", "370000121_25": "「俺たちAPPLEの使命はなんだ?」", "370000121_26": "「それは……ウロボロスの襲撃で滅びそうになっている故郷を、\\n 人が安心して住める、元の環境に戻すこと……です」", "370000121_27": "「そうだ。\\n それを、前隊長は……捨てた」", "370000121_28": "「それはッ! 司令部からの発令書に書いてあっただけで\\n 直接、隊長から話を聞いた訳では……」", "370000121_29": "「発令書に添付されていた動画を見ただろう?\\n 背けば処分すると言った、あの冷たい表情を……」", "370000121_30": "「信じたくはないが、ウロボロスの残党に\\n 情報を流していたという嫌疑までかかっているそうだ」", "370000121_31": "「そんなッ!?\\n 隊長はウロボロスの呪いで成長を止められたんですよッ!?」", "370000121_32": "「私たちより辛い想いをさせられている隊長が、\\n ウロボロスと手を組むなんて、考えられませんッ!」", "370000121_33": "「例えば、その呪いを解く方法が、\\n 俺たちを売ることで手に入るとしたら?」", "370000121_34": "「そんな……」", "370000121_35": "「いや、今のは忘れてくれ。\\n 俺の推測でしかないからな」", "370000121_36": "「ただ、話を聞きに行った隊員に重傷を負わせ、現在も逃亡中だ。\\n 裏切られている前提で動かないと、俺たちが危ないぞ」", "370000121_37": "「……そうですね……」", "370000121_38": "「いくら家族の様に付き合っていたとは言え、\\n 私たちは、故郷の未来を背負っているんですもんね……」" }