{ "367000311_0": "総統を名乗る少年", "367000311_1": "「こ、この子が、\\n ブリル協会の総統……ッ!?」", "367000311_2": "「そうだ。分かったなら、\\n 今すぐ頭を垂れろッ! そして恐れ敬えッ!」", "367000311_3": "「なんだとチビスケ、\\n こいつ吹いているんじゃねえのか?」", "367000311_4": "「にわかには信じがたいが、\\n ブリル協会の名をそのあたりの子供が知っているとも思えない」", "367000311_5": "「事件の関係者であることは間違いないだろう。\\n やむを得ない。一時的に拘束するぞ」", "367000311_6": "「フン、甘く見られたものだ。\\n オレは総統だぞ? お前ら如きに捕まるわけ――」", "367000311_7": "「へぇ、誰が捕まらないって?」", "367000311_8": "「なにいッ!?\\n は、放せッ! 襟をつかむなッ!」", "367000311_9": "「ププ……、\\n いくら暴れても無駄だぞ」", "367000311_10": "「なんたる侮辱……ッ!!\\n 女子風情に、このような……ッ!」", "367000311_11": "「なーに言ってんだ、お子様風情が」", "367000311_12": "「おのれ……ッ!\\n 覚えておけぇ……ッ!!」", "367000311_13": "「国内の住民記録にも、入国記録にも、\\n この子に合致する情報は見当たらないわね」", "367000311_14": "「それで当然だ。\\n オレは秘密結社、ブリル協会の総統なのだからッ!」", "367000311_15": "「しかしだ。それならなぜブリル協会の\\n ロボットに追われていたのだ」", "367000311_16": "「かの超兵器を『ロボット』などと呼ぶなッ!」", "367000311_17": "「『ブリルロイド』という、\\n ブリル協会にちなんだ格式高い名前があるのだ」", "367000311_18": "「質問の答えになってないだろうが」", "367000311_19": "「オレは総統だぞッ!\\n ブリルロイドに追われるわけが――」", "367000311_20": "「どう見ても追いかけられているように見えたけど?」", "367000311_21": "「ぐ……」", "367000311_22": "「こいつが本当に総統なのかどうかは置いておくとして――」", "367000311_23": "「関係者のくせにこっそり協会を抜け出したから、\\n 連中は連れ戻そうとしていた……とかじゃないのか?」", "367000311_24": "「ぐう……ッ!」", "367000311_25": "「どうやらだいたい、そんなところのようね」", "367000311_26": "「そんな時に、\\n 二課に捕まってしまうなんて、ついていないと言うか……」", "367000311_27": "「くう……。こんなはずではなかったのだッ!\\n オレの華麗なる逃亡劇を邪魔しおって……ッ!」", "367000311_28": "「なんでブリル協会を抜け出したの?\\n もしかして、ヒドいことされてるとか?」", "367000311_29": "「フン、そんなワケあるか。\\n ……ちょっとした気まぐれだ」", "367000311_30": "「とにかく、ブリル協会はオレを探している。\\n いずれここにいることが突き止められるだろう」", "367000311_31": "「そうすれば、攻撃を受けることになるぞ。\\n 一刻も早く解放した方が身のためだ」", "367000311_32": "「オレは連れ戻そうとする連中から逃げられるし、\\n お前たちは攻撃を受けずに済むし、WIN―WINだろう」", "367000311_33": "「そういうわけには――」", "367000311_34": "「お前たちのためを思って言っているのだ。\\n 特異災害対策機動部の戦力なら頭に入っているぞ」", "367000311_35": "「RN式回天特機装束、ネフシュタンの鎧、\\n そして隠し玉のシンフォギア……だろう?」", "367000311_36": "「いずれも、ブリル協会の総戦力の前では、\\n 風前の灯と変わらん」", "367000311_37": "「なるほど、よく調べられているようですが……、\\n 肝心の最大戦力の情報が抜け落ちているようですねぇ」", "367000311_38": "「ウェル博士――把握はしている。\\n ただ勘定に入れるまでもなかっただけだ」", "367000311_39": "「なあッ!?」", "367000311_40": "「なるほど……。君が協会の総統なのかはまだ疑わしい\\n ところだが、こちらの情報に詳しいということは分かった」", "367000311_41": "「だとすれば、ますますそのまま解放するわけにはいかん。\\n ブリル協会へと繋がる重要な手がかりだからな」", "367000311_42": "「できれば、ブリル協会の本部の場所や、聖遺物を\\n 狙う理由を教えてもらえるとこちらの手間が省けるのだけど?」", "367000311_43": "「フン、教える訳がないだろう。\\n 拷問されたって口を割らないからなッ!」", "367000311_44": "「……だろうな」", "367000311_45": "「拷問だったら任せてくださいッ!\\n ちょうど試したい装置があるのですよ」", "367000311_46": "「無論却下だ。\\n とりあえず、拘置用の部屋に入ってもらう」", "367000311_47": "「準備をするわ。それまで、見張りも兼ねて装者たちが\\n 過ごす部屋にいてもらうのはどうかしら」", "367000311_48": "(準備ならすぐにできるだろう。どういうつもりだ?)", "367000311_49": "(かしましい装者たちと過ごさせたら、気が緩んでポロッと\\n 重要な情報を漏らすんじゃないかと思ったのよ)", "367000311_50": "(拷問よりはずっとマシな提案だな)", "367000311_51": "「……悪いが、頼めるか?」", "367000311_52": "「了解しました」", "367000311_53": "「任せてくださいッ!」", "367000311_54": "「仕方ない、それで我慢してやろう。\\n ただし、無礼な口を聞くことは許さないからな」", "367000311_55": "「なんでこんな生意気なガキと……」", "367000311_56": "「その口ぶりが無礼だと言っているのだッ!」", "367000311_57": "「うるせえッ!\\n あたしが躾けてやるから覚悟しろッ!」", "367000311_58": "(ね? 早くも打ち解けているでしょう?)", "367000311_59": "(打ち解けているようにはとても見えないが……)" }