{ "390001011_0": "いずれ恋を識る", "390001011_1": "「すべてが……作用した結果、かぁ。", "390001011_2": " さすがキャロぴッ!」", "390001011_3": "「……あ。\\n っていうか、いつのまにか年明けてるしッ!?」", "390001011_4": "「い、いちお言っとく。\\n あけおめ☆」", "390001011_5": "「……まさか、私たちの攻撃をマスターが止めに入ることも、\\n 計算のうちだったと?」", "390001011_6": "「どうかな。\\n 止まらなくても面白かったかもしれないね」", "390001011_7": "「マスターが信じてたアダムを……局長を\\n メタメタにするとこだったんだゾ……」", "390001011_8": "「こちらから見れば……マスターも相当に\\n 派手な暴れ方をしているように見えたのだが……」", "390001011_9": "「いやほんと。\\n どーしてこの胡散臭男を信じきれたんですかぁ?」", "390001011_10": "「……それは……」", "390001011_11": "「はっは〜ん……\\n アタシ、わかっちっち☆」", "390001011_12": "「ずばり、キャロぴも局長の顔が好みッ!?」", "390001011_13": "「あら意外」", "390001011_14": "「そうだったのかッ!?」", "390001011_15": "「知らなかったね、それは」", "390001011_16": "「……おい、真に受けるやつが複数人いる。\\n やめろ」", "390001011_17": "「キャロぴマジ怒りじゃん。", "390001011_18": " メンゴ……ガチしょんぼり沈殿丸ですぅ……」", "390001011_19": "「で、どうなんですか?\\n マスター」", "390001011_20": "「…………」", "390001011_21": "「……想い出だ」", "390001011_22": "「ん?\\n どういうことだゾ?」", "390001011_23": "「アダムが現れるとき――こいつは必ず、\\n パパのブローチをつけていた」", "390001011_24": "「不恰好な、リンゴのブローチ……\\n オレに気付けといわんばかりに」", "390001011_25": "「その通りさ。実際にね」", "390001011_26": "「僕がイザークとの間に交わした優しい約束を。\\n 遥けき想い出を……」", "390001011_27": "「僕の胸に取り戻してくれた……\\n その新たな『想い出』を持っているのは、キミなのだから」", "390001011_28": "「……」", "390001011_29": "「これでも期待しているんだよ。\\n 僕はね。錬金術師協会に」", "390001011_30": "「だからこそ作ったのさ。組織として。\\n 理屈では語り切れない、憧れや理想――」", "390001011_31": "「にも関わらず、\\n 考えれば溢れるほどに湧いてくる理由」", "390001011_32": "「まるで恋のようじゃないか。\\n 世界に対しての。世界を識ることに対しての――」", "390001011_33": "「追い求め、焦がれ、どれだけ生きても\\n 辿り着けるかわからないものに、手を伸ばす……」", "390001011_34": "「……世界を識ることは、\\n 恋に似て……か」", "390001011_35": "「……フ。ならばオレは、\\n まだその入り口にすら立てていないのだろうな」", "390001011_36": "「いずれ、その大いなる業すらも……\\n 識ってみせよう」", "390001011_37": "「今、ここにいるオレは。\\n 他の何者でもない、奇跡の完遂者なのだから――」" }