{ "402000221_0": "「今、スクルドでは新たなミョルニルの捜索を行っているの」", "402000221_1": "「ミョルニル……あの時の聖遺物かッ!!」", "402000221_2": "「ええ、そう。\\n 世界蛇と戦うには、まずあれが無いと始まらないわ」", "402000221_3": "「そんなに重要なのか?\\n 確かにあの時の威力はすごかったけど……」", "402000221_4": "「それでも、世界蛇を押し返すしかできなかった……」", "402000221_5": "「それでも、よ。\\n そもそも、ミョルニルとは――」", "402000221_6": "「その昔、世界蛇の開発者たちが、その暴走を恐れ、\\n 保険のために弱点として設定した唯一の聖遺物」", "402000221_7": "「言わば『世界蛇を殺す』ための聖遺物よ」", "402000221_8": "「なるほど……、それで世界蛇に対して有効なんですね」", "402000221_9": "「そう、だから、ミョルニルは絶対に必要なの」", "402000221_10": "「世界蛇の本体は強大になりすぎて、ミョルニル単体での討伐は\\n 難しいけど、それでも世界蛇の眷属には絶大な効果があるわ」", "402000221_11": "「ガンドやカオスビースト辺りにもね」", "402000221_12": "「ガンド……って、カルマノイズのことですよね。\\n カオスビーストって……?」", "402000221_13": "「それはあなたも会った、ギャラルホルンの空間内に巣くう\\n あの怪物のことよ」", "402000221_14": "「あの空間を利用する者を無差別に襲ったり、\\n 時折、その空間から、外へと出現することもあるの」", "402000221_15": "「ギャラルホルンのあの強いアラートは、\\n それが原因ということでしょうか?」", "402000221_16": "「装者たちの報告と照らし合わせてみても、\\n 間違いないだろうな」", "402000221_17": "「わたしたちスクルドでは、それをカオスビーストと呼んでいるの」", "402000221_18": "「とにかく、それらと戦うためにもミョルニルは必要よ。\\n だから、新たなミョルニルを探すのが急務なの」", "402000221_19": "「新たなミョルニルを探す……?\\n でも、どうやって?」", "402000221_20": "「ミョルニルは、ガングニールやイチイバルなどと同じく、\\n 神話にも登場する有名な武器――」", "402000221_21": "「そして、これまで接触した並行世界には、ボクたちの世界\\n にある聖遺物と同じものが現存しているケースもありました」", "402000221_22": "「それはつまり――」", "402000221_23": "「並行世界のどこかに、別のミョルニルが現存する世界が\\n あるかもしれない、ということね」", "402000221_24": "「はい、その可能性は高いと思います」", "402000221_25": "「そういうこと。\\n 理解が早くて助かるわ」", "402000221_26": "「だから、あなたたち装者にも手伝ってほしいの」", "402000221_27": "「なるほど。理解した」", "402000221_28": "「……念のため聞くけど、この世界でミョルニルという聖遺物が\\n 発見されたことはないかしら?」", "402000221_29": "「少なくともS.O.N.G.やその前身の特異災害対策機動部二課で\\n そういった聖遺物についての発見報告は無いな」", "402000221_30": "「F.I.S.にもないと思うわ。\\n マムから聞いた覚えも無いし……」", "402000221_31": "「後は大戦時のドイツ辺りが情報を持っていた可能性もあるが、\\n そちらは調べるのは難しいからな……」", "402000221_32": "「いえ、ミョルニルはかなり強力な聖遺物だから、\\n 秘匿するにも限界があると思うわ」", "402000221_33": "「どこかで発見、起動したことがあるなら、噂くらいは\\n 聞こえてきてもおかしくない。それも無いということは……」", "402000221_34": "「発見されていない可能性が高い、ということか」", "402000221_35": "「そう考えていいと思うわ」", "402000221_36": "「なあ、並行世界を探すって、あたしらはどうすればいいんだ?\\n 知ってる世界を回ればいいのか?」", "402000221_37": "「欲しいのは聖遺物の情報よ。伝手のある世界じゃないと\\n 情報を得るのも難しいだろうし、そうしてくれればいいわ」", "402000221_38": "「……直接聖遺物について聞ける相手がいる世界となると、\\n そう多くはないわね」", "402000221_39": "「伝手のある世界……。\\n 奏さんのところとか、セレナのところとかデスかね」", "402000221_40": "「後はドクターのいる世界とか……」", "402000221_41": "「そっちはクリス先輩にお任せするデス」", "402000221_42": "「あたしかよッ!?」", "402000221_43": "「あとは、もう1人の響がいる世界……」", "402000221_44": "「とにかく、二課かそれに相当する組織のある世界だろう」", "402000221_45": "「こちらでもあちこちの世界に人を送っているけど、今のところ\\n めぼしい情報は無いの。だから、お願いするわ」", "402000221_46": "「あの、少しいいでしょうか?」", "402000221_47": "「何かしら?」", "402000221_48": "「今、あちこちの世界に人を送っていると言っていましたが、\\n これは、装者以外も並行世界へ渡れるということですか?」", "402000221_49": "「ええ、もちろんそうよ。\\n わたしも装者ってわけじゃないもの」", "402000221_50": "「なッ!?\\n 装者でなくとも、ギャラルホルンの空間を通れるというのか?」", "402000221_51": "「それはどんな方法なんですか?」", "402000221_52": "「わたしたちはギャラルホルンじゃなくて、別の物を使って\\n 世界を渡っているの」", "402000221_53": "「この『デュプリケイター』という装置でね」", "402000221_54": "「デュプリケイター……?」", "402000221_55": "「デュプリケイターはカオスビーストの体から採取した鉱石を\\n 核として、ゲート移動の機能を持たせた道具なの」", "402000221_56": "「これを使えば、ギャラルホルンの空間……つまり並行の可能性を\\n 繋ぐ通路に、出入りすることが可能」", "402000221_57": "「まあ、いくつか条件はあるんだけどね。\\n でも、装者でなくとも移動は可能よ」", "402000221_58": "「そんなものが……。\\n あの、それを借りることはできないでしょうか?」", "402000221_59": "「……ごめんなさい。それはできないわ」", "402000221_60": "「デュプリケイターは、先祖たちが時間を掛けて作り、\\n 数を増やしてきた大切な物」", "402000221_61": "「そのために犠牲になった者の数も少なくない……」", "402000221_62": "「それに、スクルドの中ですら不足している状況なの」", "402000221_63": "「だから、協力相手とはいえ、\\n 他の組織に貸し出すことはできないわ」", "402000221_64": "「そうですか……」", "402000221_65": "「気分を悪くしたら、ごめんなさい」", "402000221_66": "「無い物ねだりをしても仕方ない。\\n 俺たちは俺たちにできることをやるべきだろう」", "402000221_67": "「はい」", "402000221_68": "「ではより具体的に、探す世界の選定と、\\n 担当する装者について決めて行こう」" }