{ "105000931_0": "「見た目以上に響くんのダメージは深刻……、\\n だが、翼の撤退判断が早くて、最悪の事態は免れたようだ」", "105000931_1": "「いえ、弱きを護るのは防人の務め……、\\n きっと、奏だってそうしたはずです」", "105000931_2": "「…………」", "105000931_3": "「司令、マリアさんから提案のあったデータの検証、\\n 完了しました」", "105000931_4": "「データの検証?」", "105000931_5": "「なんデスか? それは……」", "105000931_6": "「腕輪の起動時に検知される不協和音に、\\n 思うところがあってね……」", "105000931_7": "「あの音に、経年や伝播距離による言語の変遷パターンを\\n 当てはめて、予測変換したものになります」", "105000931_8": "「言語の変遷パターンを?」", "105000931_9": "「この曲……どこかで聴いた……」", "105000931_10": "「いつかにマリアが唄ってたデスよッ!」", "105000931_11": "「知ってるのか?」", "105000931_12": "「歌の名はApple……大規模な発電所事故で、\\n 遠く住む所を追われた父祖が、唯一持ち出せた童歌……」", "105000931_13": "「変質、変容こそしていますが、\\n 大本となるのはマリアさんの歌と同じであると推察されます」", "105000931_14": "「アヌンナキが口ずさむ歌と、マリアの父祖の土地の歌……」", "105000931_15": "「フロンティア事変にて見られた共鳴現象……、\\n それを奇跡と片付けるのは容易いが」", "105000931_16": "「マリアくんの歌が引き金となっている事実を鑑みるに、\\n 何かしらの秘密が隠されているのかもしれないな」", "105000931_17": "「――ッ……」", "105000931_18": "「敵の全貌はいまだ謎に包まれたまま……それでも根城は\\n 判明したッ! 俺たちは、俺たちのできることを進めようッ!」", "105000931_19": "「恐らくは、未来くんとエルフナインくんも\\n そこに囚われているに違いないッ!」", "105000931_20": "「了解ッ!(デスッ!)」", "105000931_21": "「じゃあ――わたしが誰かを困らせていたら、響はどうするの?」", "105000931_22": "「――えッ!?」", "105000931_23": "「たとえばの話よ。たとえば……。\\n でも、その時は……響に止めてほしいな」", "105000931_24": "「なんで……わたしが……」", "105000931_25": "「響には、それができるんだもの……、\\n わたしの大好きな、世界で一番優しい拳で」", "105000931_26": "「よく……わからないよ……」", "105000931_27": "「……お願いね。だって……わたしの全部を預けられるのは、\\n 響だけなんだから」", "105000931_28": "「未来……」", "105000931_29": "「新調した右手の具合を確かめなくちゃ", "105000931_30": " たまにはお姉ちゃんらしいところも見せないとね」", "105000931_31": "「……」", "105000931_32": "「神の力が、神そのものへと完成するまでには、\\n もうしばらくの時間が必要……」", "105000931_33": "「それを邪魔する要因は、小さくても取り除かなくっちゃ――」", "105000931_34": "「……ッ!」", "105000931_35": "「こいつッ!」", "105000931_36": "「気づいていたでありますかッ!?」", "105000931_37": "「はぁ……はぁ……はぁ……」", "105000931_38": "「あら? 自分が原因で世界に仇為してしまった以上、\\n 生きているのも辛くないかしら」", "105000931_39": "「確かに昔のボクならば、世界を護るために\\n 消えていいとさえ思ってました」", "105000931_40": "「だけど、この身体は大切な人からの預かり物です。\\n 今はここから消えたくありませんッ!」", "105000931_41": "「そう……だけど、それは聞けない相談ね」", "105000931_42": "(どうすれば……だけどボクでは……)", "105000931_43": "「次は外さないわ」", "105000931_44": "「――誰かッ!」", "105000931_45": "「……はッ!?」", "105000931_46": "「な、なんなのッ!?」" }