{ "404000611_0": "ミーナの真実", "404000611_1": "「くそッ! なんてざまだッ!\\n 敵の襲撃を予想できないとは、完全に俺の落ち度だ」", "404000611_2": "「司令ッ!?\\n 重傷なんですよ、安静にしていないとッ!」", "404000611_3": "「この程度、飯食って寝れば治る。\\n それに、今は休んでいられるような状況ではないだろう」", "404000611_4": "「それより、被害状況を知らせてくれ」", "404000611_5": "「通信機器、各種データなどは無事です。\\n 奪われた形跡もありません」", "404000611_6": "「外装や隔壁については被害甚大。\\n 修理が完了するまで、潜航移動は不可能です」", "404000611_7": "「かろうじて水上移動はできますが、機関部にも被害があるため、\\n 低速での航行がせいぜい、といったところですね」", "404000611_8": "「人的被害についてはこちらに。\\n ……司令のおかげで最小限に抑えられたようですが……」", "404000611_9": "「……くッ!\\n それでも、これだけの被害を出してしまった……」", "404000611_10": "「それと、スクルドのミーナさんが……」", "404000611_11": "「……そうか」", "404000611_12": "「…………」", "404000611_13": "「ミーナさん……」", "404000611_14": "「……各並行世界の迎撃は?」", "404000611_15": "「はい、そちらは滞りなく解決しました。\\n 各並行世界との協力体制を築いていたおかげです」", "404000611_16": "「ならばあとはこちらの戦いだな。\\n 世界蛇をこの世界に降ろすと言っていたと聞いたが?」", "404000611_17": "「確かにそう言っていたわ。ベアトリーチェ自らね」", "404000611_18": "「奴は、我々を利用し、世界蛇を成長させると言っていました。\\n 間違いなく、この世界に世界蛇を降ろすつもりだと思います」", "404000611_19": "「戦いの舞台は我々の世界に固定されたということか……」", "404000611_20": "「そうなると、対策についてスクルドとも\\n 相談したいところだが――」", "404000611_21": "「それなら俺が聞こう」", "404000611_22": "「戻りました」", "404000611_23": "「あの、ミーナさんは――」", "404000611_24": "「容態は、大丈夫なんですかッ!?」", "404000611_25": "「……それは……」", "404000611_26": "「…………」", "404000611_27": "「大丈夫……ではないな。今はまだ活動停止していないが。\\n まずはそれから説明しよう」", "404000611_28": "「活動停止……?」", "404000611_29": "「ミーナについて、君たちも見ただろうが、\\n その正体は人間ではない」", "404000611_30": "「彼女は、遥か昔、スクルド結成時のメンバーの1人が\\n 作り上げた、今でいうところの自動人形だ」", "404000611_31": "「自動人形……やっぱり」", "404000611_32": "「世界蛇と戦うためには、ミョルニルを使いこなす必要がある。\\n しかし、普通の人間にはそれを扱うことはできない」", "404000611_33": "「ミーナは、その扱いの極めて難しいミョルニルの制御を\\n 目的として作られたのだ」", "404000611_34": "「なるほど、だから彼女だけにミョルニルの制御ができていたのか」", "404000611_35": "「そうだ」", "404000611_36": "「ミーナにミョルニルを制御させることに成功したスクルドは、\\n 順調に世界蛇の眷属を倒していった」", "404000611_37": "「しかし、そこに世界蛇を神と崇めるウロボロスが立ちはだかり、\\n 一度スクルドは壊滅した……」", "404000611_38": "「その時に、ミーナを作ったマスターも――」", "404000611_39": "「……そんな」", "404000611_40": "「1人生き残ったミーナは、マスターの遺志を継ぎ、\\n 世界蛇を倒すため、組織を再結成した」", "404000611_41": "「それが、今のスクルドだ」", "404000611_42": "「……ミーナさん以外の\\n スクルドの人たちは普通の人間なんですか?」", "404000611_43": "「ああ。世界蛇の脅威を知り、共に戦おうと志す者たち、\\n その遺志を継いだ子孫が、俺たちスクルドのメンバーだ」", "404000611_44": "「あいつは、一体どんだけ長い間、世界蛇と戦ってきたんだ?」", "404000611_45": "「それは俺にもわからない……」", "404000611_46": "「あの……、\\n それで結局、ミーナさんは治るんですか……?」", "404000611_47": "「……正直、難しいだろう」", "404000611_48": "「そんなッ!」", "404000611_49": "「スクルドのデータベースに、\\n ミーナについての資料は残されてはいるが……」", "404000611_50": "「それは先史文明期以前のものであり、\\n 全てを読み解ける者は、今のスクルドにはいない」", "404000611_51": "「読めない以上、中身についても判別できない。\\n ミーナについての資料がどれだけあるのかも不明だ」", "404000611_52": "「読めない資料……でも、先史文明期に関係するなら、\\n もしかしたら並行世界のフィーネさんに頼れば――」", "404000611_53": "「それだッ!」", "404000611_54": "「確かにそれなら可能性はある……、\\n しかし……」", "404000611_55": "「何か問題があるんですか?」", "404000611_56": "「……ミーナがそれまで持たないだろう。\\n 損傷度合いは激しく、数日持つかどうか……」", "404000611_57": "「デュプリケイターを貸し、フィーネを連れて来てデータを\\n 確認してもらい、処置を頼む。とても間に合うとは思えない」", "404000611_58": "「それにミーナは世界蛇が発生した世界で生まれた自動人形だ。\\n 聞く限り、そのフィーネは世界蛇の存在を知らない」", "404000611_59": "「大きく根幹から世界が変わってしまっている。それではいくら\\n フィーネといえども、一朝一夕でなんとかするのは無理だろう」", "404000611_60": "「けどそれじゃ、打つ手なしってことなのかよ……」", "404000611_61": "「……少なくとも、我々にできることはない」", "404000611_62": "「いえ……まだです」", "404000611_63": "「エルフナインちゃん?」", "404000611_64": "「ユリウスさん。\\n ボクにその資料をあるだけ見せてもらえませんか?」", "404000611_65": "「構わないが、解析するつもりか?」", "404000611_66": "「はいッ! 世界も時代も違うとはいえ、\\n 自動人形は錬金術の領域でもあります」", "404000611_67": "「ボクの中にあるキャロルの知識なら、\\n あるいは紐解けるかもしれません……」", "404000611_68": "「それに、ミーナさんはボクを庇って倒れたんです。\\n だから、ボクが絶対に助けてみせます」", "404000611_69": "「……わかった。ならばすぐにデータを送る。\\n ……ミーナのことを頼む」", "404000611_70": "「はい、必ず助けてみせますッ!」" }