{ "316000632_0": "「あああ――ッ!?」", "316000632_1": "「く――ッ!」", "316000632_2": "「くそお――ッ!」", "316000632_3": "「……2人とも……大丈夫か?」", "316000632_4": "「ああ、なんとかな……」", "316000632_5": "「はい。まだ、やれます……」", "316000632_6": "(強がっているが、2人とも消耗が激しい……。\\n 特に立花はS2CAの反動もある……)", "316000632_7": "(なんとか退路だけでも切り開かねば……)", "316000632_8": "「2人ともついてこいッ!」", "316000632_9": "「先輩ッ!?」", "316000632_10": "「翼さんッ!」", "316000632_11": "「はあ――ッ!!」", "316000632_12": "「せい――ッ!!」", "316000632_13": "(関節に当たった……? 牽制程度のつもりだったものが?)", "316000632_14": "「翼さん、あぶないッ!」", "316000632_15": "「?」", "316000632_16": "「は――ッ!」", "316000632_17": "(気のせいか?\\n 急にオートマシンの攻撃がゆるくなったような……?)", "316000632_18": "(かといって、包囲を解くつもりはないようだ)", "316000632_19": "(こちらをいたぶっているのか……?)", "316000632_20": "(いや。感情を持つ生物ならともかく、\\n 機械兵器が人間をなぶる理由などあるまい)", "316000632_21": "(もしや裏に、何者かの意図が――)", "316000632_22": "「――ッ!!」", "316000632_23": "「あれは――シャロンちゃんッ!?」", "316000632_24": "「馬鹿野郎ッ! あいつ、また力をッ!?」", "316000632_25": "「シャロンちゃんッ? どうしてッ!?」", "316000632_26": "「話している暇はないッ! この機を逃すなッ!」", "316000632_27": "「ああッ! 一刻も早く倒しきれッ!」", "316000632_28": "「う……うんッ!!」", "316000632_29": "「はあああああ――ッ!!」", "316000632_30": "「……ッ! ……ッ!」", "316000632_31": "「――ッ!」", "316000632_32": "「シャロンちゃんッ!」", "316000632_33": "「また発作が起きてしまったようだ。\\n すぐ二課へ連れて行くぞ」", "316000632_34": "「は……はいッ!」", "316000632_35": "「シャロンちゃん、助かりますよね?」", "316000632_36": "「予断を許さない状況だ。\\n 正直、今の我々の技術力では手の施しようがない」", "316000632_37": "「そ……そんなッ!?」", "316000632_38": "「このまま発作が治まらねば、命の危険が……」", "316000632_39": "「何か打てる手はないのか……」", "316000632_40": "「クソッ……あたしらが不甲斐ないばっかりに……」", "316000632_41": "「……司令」", "316000632_42": "「なんだ?」", "316000632_43": "「その……オズワルド氏が面会を求めています」", "316000632_44": "「……今取り込み中だ。また後で連絡すると――」", "316000632_45": "「失礼するよ、八紘」", "316000632_46": "「事前にアポイントをとってくれと言ったはずだが?」", "316000632_47": "「なに。不誠実はお互い様だろう?」", "316000632_48": "「どういう意味だ」", "316000632_49": "「落とし物を返してもらいに来たのだよ」", "316000632_50": "「落とし物だとッ!?」", "316000632_51": "「よせ、雪音ッ!」", "316000632_52": "「私の娘を君らが匿っているのは承知していた」", "316000632_53": "「なかなか便利だっただろう、あれは?」", "316000632_54": "「だが、君らは説明書もなしに使って道具を壊す口かね?\\n 大分危険な状態に陥っているようだが」", "316000632_55": "「テメェッ! 知ってて泳がせていたのかッ!?」", "316000632_56": "「そういうのを日本では逆ギレというのだったな。\\n まったく、不条理なことだ」", "316000632_57": "「わざわざ煽るな、オズワルド」", "316000632_58": "「これは失敬」", "316000632_59": "「ではNEXT所長として特異災害対策機動部二課司令、\\n 風鳴八紘氏に正式に要求する。シャロンを返して頂きたい」", "316000632_60": "「嫌だと言ったら?」", "316000632_61": "「政治的問題に発展せざるを得ない――と忠告しておこう」", "316000632_62": "「それは脅しか?」", "316000632_63": "「解釈は任せよう」", "316000632_64": "「だが、あの子は父親である私が連れ帰る。\\n これ以上の正当性はあるまい?」", "316000632_65": "「どの面下げて父親だッ!」", "316000632_66": "「選択肢はないはずだ。\\n あの子の使い方を熟知しているのは私だけだ」", "316000632_67": "「このまま融合が進めば、あの子は命を落とすだろう。\\n それも遠い話ではない。全ては君らの責任だ」", "316000632_68": "「そ、それは……」", "316000632_69": "「私だけがあの発作を抑える薬を処方できる。\\n 私だけがあの子を救えるのだ」", "316000632_70": "「シャロンちゃん……」", "316000632_71": "「……もはや、異論はないな?」", "316000632_72": "(この人なんかにシャロンちゃんを渡したくない)", "316000632_73": "(きっとこの人は、またシャロンちゃんに\\n 酷いことをするに違いない)", "316000632_74": "(でも……)", "316000632_75": "(でも、渡さないとシャロンちゃんが\\n 死んじゃうかもしれない……)", "316000632_76": "(今こうしている間にも、あの苦しみをシャロンちゃんは\\n 味わってるんだ……)", "316000632_77": "「……わかった。少女を引き渡そう」", "316000632_78": "「――ッ!!」", "316000632_79": "「お、おいッ!?」", "316000632_80": "「……少女の命を第一と考えるなら、\\n 彼の言う通り、我々に選択の余地はない」", "316000632_81": "「ですがッ!」", "316000632_82": "「すまない」", "316000632_83": "「だが、約束しろオズワルド。その子を必ず救うと」", "316000632_84": "「言われるまでもないことだ。\\n 私の大事な愛娘なのだからね」", "316000632_85": "「あ……、くッ……」", "316000632_86": "(シャロンちゃん……ごめん。\\n 助けてあげられなくて……)", "316000632_87": "(ごめんね……)" }