{ "402000421_0": "「なるほど……。\\n ミーナさんたちの方でそんなことが……」", "402000421_1": "(どうすれば……。仲間は心配だけど、ミョルニルの入手は\\n 最優先事項。いつまでも武器を失ったままでは戦えない……)", "402000421_2": "(だからといって、わたしがミョルニルの入手に動けば、\\n 大事な仲間を見捨てることにも――)", "402000421_3": "「…………」", "402000421_4": "(でも、ミョルニルの制御はわたしじゃないと行えない。\\n ううん、そもそもミョルニルの情報が正しいかどうかも――)", "402000421_5": "「……相談がある。我々と協力関係を結んだということは、\\n 装者の戦力についての貸与も期待していいのか?」", "402000421_6": "「ああ。もちろんそれも含んでいる。\\n 要請があれば、検討しよう」", "402000421_7": "「ならばミレニアムパズルの調査に当たって、\\n 装者の協力を頼みたい」", "402000421_8": "「……え?」", "402000421_9": "「……ミレニアムパズルについてわかっているだけの情報の開示、\\n それに、現在予想される危険なども教えてくれるか?」", "402000421_10": "「もちろんだ。\\n ……ミーナ、ミレニアムパズルはこっちで担当する」", "402000421_11": "「そんな……。\\n 何が起きているのかもわからないのに……」", "402000421_12": "「だからこそだ。\\n ミーナはなによりミョルニル入手を優先してくれ」", "402000421_13": "「こっちは俺と協力者でなんとかする。\\n 装者が護衛なら、戦力は足りるだろう」", "402000421_14": "「戦力的にはそうだけど、でも――」", "402000421_15": "「でも、はなしだ。戦力として足りているのなら、\\n 作戦に支障はないはず」", "402000421_16": "「…………」", "402000421_17": "「詳しいデータは後程転送する。\\n 交換条件として、複数名の装者の協力を願いたい」", "402000421_18": "「いいだろう。連絡については?」", "402000421_19": "「出発まではこちらの世界に滞在している。\\n 端末で呼び出してくれればいい」", "402000421_20": "「わかった」", "402000421_21": "「では、ひと足先に失礼する。\\n ミョルニルの方は頼んだぞ」", "402000421_22": "「……ええ」", "402000421_23": "「……さて、話が途中になっていたな。\\n 翼、お前たちの入手したミョルニルの情報について話してくれ」", "402000421_24": "「はい、ミョルニルですが、以前報告した『シャロン』という\\n 少女のいる世界、そこの米国政府が保有しているようです」", "402000421_25": "「聞いたところじゃ、昔、起動実験をして、起動自体は\\n 成功したらしい。ただ、制御については失敗して――」", "402000421_26": "「事故が起きたらしいです。\\n それで、シャロンちゃんのお母さんが――」", "402000421_27": "「……それは今はいいだろ。\\n とにかく、制御できずに米国政府で封印していたらしい」", "402000421_28": "「ですが、最近になって再び制御の実験を行う計画があるとのことです」", "402000421_29": "「無駄なことを……、\\n ただの研究員に、ミョルニルの制御なんてできるわけないのに」", "402000421_30": "「そうなんですか?」", "402000421_31": "「……ええ。あれに秘められた力は、とてつもなく強大。\\n 下手に触れれば、間違いなく暴走するわ」", "402000421_32": "「向こうのお父様――いえ、風鳴八紘司令が言うには、\\n ミョルニルについての貸与は認められないとのことです」", "402000421_33": "「ものが米国政府の保有ではな……。\\n 高度に政治的な問題も絡んでしまう……」", "402000421_34": "「ただ、世界蛇の問題についても理解を示してくれています。\\n そのため、先方からとある提案を受けました」", "402000421_35": "「提案?」", "402000421_36": "「はい。ミョルニル制御実験に立会い、まずは現物の確認、\\n しかる後、もし制御に失敗した場合については――」", "402000421_37": "「条件付きにはなるだろうが、こちらに渡せるよう、\\n 取り計らってくれるってさ」", "402000421_38": "「……そうか。ご苦労だった」", "402000421_39": "「……その世界はどこ?」", "402000421_40": "「ミーナさん?」", "402000421_41": "「……わたしがすぐに行って、回収してくる」", "402000421_42": "「なッ!?」", "402000421_43": "「正気かッ!?」", "402000421_44": "「正気に決まってるでしょ。\\n それさえあれば、わたしは――」", "402000421_45": "「いや、悪いがそれは我々が看過できない」", "402000421_46": "「なぜ?」", "402000421_47": "「聖遺物を無理矢理奪えば、国際問題に発展する。\\n それが戦争の引き金になる可能性もある」", "402000421_48": "「……自分がよければすべてよし、という考えは嫌いでな」", "402000421_49": "「例え並行世界だろうと、戦火の種を作るようなことは\\n 容認できない。これは君たちにも約束してほしい」", "402000421_50": "「………わかったわ」", "402000421_51": "「よし、それでは我々は『ミョルニルの確保』と\\n 『ミレニアムパズルの調査』の作戦について検討しよう」", "402000421_52": "「詳しいデータを受け取り次第だが、恐らく双方の作戦に装者の\\n 参加が必須だろう」", "402000421_53": "「お前たちはいつでも出られるよう、準備を進めてくれ」", "402000421_54": "「了解ッ!」", "402000421_55": "「2人の協力もありがたく受けさせてもらう」", "402000421_56": "「ああ、任せてくれ」", "402000421_57": "「わたしにできることなら、なんでもお手伝いします」", "402000421_58": "「……どうだ、エルフナインくん?」", "402000421_59": "「はい……。ユリウスさんから受け取った、ミレニアムパズルの\\n 情報について、確認が完了しました」", "402000421_60": "「どうやらスクルドとしては、今まで何度か人員を派遣して\\n いたようです」", "402000421_61": "(以前、ボクがミーナさんに世界蛇の対抗手段について\\n 尋ねた時、この事は教えてくれませんでした――)", "402000421_62": "(……やはり、ボクたちはまだ信用されていない、\\n ということでしょうか)", "402000421_63": "「ただ、今回については今までと異なり、ミョルニルを失った\\n ことで、スクルドでも腕利きによる調査を行ったとあります」", "402000421_64": "「しかし、定時に入るはずの連絡が無く、なんらかのトラブルに\\n 巻き込まれた可能性がある、とあります。聞いた通りですね」", "402000421_65": "「そうだな。しかし、スクルドは並行世界間での通信技術を\\n 保有しているのか?」", "402000421_66": "「詳しくはわかりませんが、それはなさそうです」", "402000421_67": "「記録を見る限り、リアルタイムで通信を行っているのではなく、\\n 特定の並行世界にて、連絡員と落ち合っているようなので」", "402000421_68": "「そうなると、ますます何が起きたかはわからない、\\n ということか」", "402000421_69": "「はい。可能性としては、ウロボロスによる襲撃、ガンドもしくは\\n カオスビーストとの遭遇が考えられるとあります」", "402000421_70": "「ガンドはカルマノイズのことだったな……」", "402000421_71": "「はい、そして、カオスビーストとは、\\n ギャラルホルンの空間内に存在する、特殊な怪物のようです」", "402000421_72": "「以前、装者より報告のあった巨大な怪物だな。\\n ギャラルホルンの強いアラートの原因でもある……」", "402000421_73": "「それが待ち構えているとなれば、接触は避けられまい。\\n ……できる限りの情報を、装者へ伝えよう」", "402000421_74": "「――状況については以上だ」", "402000421_75": "「カオスビースト……あの怪物が」", "402000421_76": "「とっくにあたしらも遭遇してたんだな。\\n そりゃ、あんなのに会ったら――」", "402000421_77": "「ああ。スクルドの腕利きとやらも、無事では済まないだろう」", "402000421_78": "「カルマノイズだけでも大変なのに、\\n 世界蛇にカオスビーストね……」", "402000421_79": "「次から次へと、敵だらけデス……」", "402000421_80": "「うん……」", "402000421_81": "「さて、状況について共有したところで、作戦行動の話だ。\\n 今回は3つの班に分かれてもらう」", "402000421_82": "「ミョルニル班と、ミレニアムパズル班と、\\n あと1つはなんですか?」", "402000421_83": "「並行世界側との連絡員兼、もしもの時の増援部隊だ。\\n 通信などの連絡が使えない以上、考慮しておきたい」", "402000421_84": "「ミョルニルについては、向こうの世界に慣れている、響くん、\\n 翼、クリスくんの3名。それと君に同行してもらう」", "402000421_85": "「……ええ、そうさせてもらうわ」", "402000421_86": "「ミレニアムパズルの側については、マリアくん、調くん、\\n 切歌くんの3名、こちらはユリウス氏が同行する」", "402000421_87": "「そのユリウスさんの姿が見えませんけど……」", "402000421_88": "「作戦開始時に合流するそうだ。\\n 向こうは向こうで準備があるらしくてな」", "402000421_89": "「残りの3名は、先ほど話した\\n 連絡員兼増援部隊として、待機してもらいたい」", "402000421_90": "「はい……」", "402000421_91": "(前に無茶しすぎちゃったし、仕方ないか……)", "402000421_92": "「増援部隊……」", "402000421_93": "(やっぱり、わたしじゃ力が足りないから……)", "402000421_94": "「…………」", "402000421_95": "「グループ分けについては以上だ。\\n 何か意見がある者は?」", "402000421_96": "「――なあ、ちょっといいかな?」", "402000421_97": "「構わない」", "402000421_98": "「ミレニアムパズルの方だけど、敵の妨害も予想されるんだろ?\\n それなら、装者の数は少しでも多い方がよくないか?」", "402000421_99": "「……一理あるな」", "402000421_100": "「こちらとしても、可能ならお願いしたいわ。\\n 不測の事態が起こりやすいのは、そちらの方だから」", "402000421_101": "「了解した。ではあと1人……。\\n そうだな――」", "402000421_102": "「あたしは、この子を推すよ」", "402000421_103": "「えッ!?」", "402000421_104": "「そっちのメンバーとうまく連携とれるのは、\\n この子をおいて他にいないだろ?」", "402000421_105": "「確かに、マリアくんたちとの連携を考えれば、君が適任だろう。\\n よろしく頼めるか?」", "402000421_106": "「は、はいッ! もちろんです」", "402000421_107": "「セレナと一緒デースッ!」", "402000421_108": "「うん」", "402000421_109": "「一緒に頑張りましょう」", "402000421_110": "「……うん、姉さん」", "402000421_111": "「それと、増援の方だけど、翼と組ませちゃくれないかい?」", "402000421_112": "「え?」", "402000421_113": "「奏……?」", "402000421_114": "「こっちの人数が少なくなった分、よりやりやすい相手と\\n 組んだ方がいいかなってね」", "402000421_115": "「……翼、お前はどうだ?」", "402000421_116": "「そうですね……。\\n わたしは奏の提案に賛成します」", "402000421_117": "「ならば未来くんと翼は交代としよう。\\n 未来くんもそれでいいかな?」", "402000421_118": "「はいッ!」", "402000421_119": "「未来、一緒に頑張ろうねッ!」", "402000421_120": "「うんッ!」", "402000421_121": "「他は無いな?\\n では、スクルド側の人員と合流次第、作戦を開始とするッ!」", "402000421_122": "「あの、奏さんッ!」", "402000421_123": "「どうしたんだ、2人揃って」", "402000421_124": "「さっきのグループ分けなんですけど」", "402000421_125": "「あれは、わたしたちのために……?」", "402000421_126": "「……さあね、どうだったかな。\\n そんなことより、2人とも頑張りな」", "402000421_127": "「あの、ありがとうございます」" }