{
"306001411_0": "イノセント・シスター",
"306001411_1": "「……………………」",
"306001411_2": "「悲しいか?\\n 最初からありもしない、架空の絆を惜しんで」",
"306001411_3": "「決して覆されることのない現実を目にして、\\n なお迷うなど甚だ愚かなことだ」",
"306001411_4": "「ノイズを倒せるほどの力を手に入れておきながら、\\n この程度のことで心が折れ、使い物にならなくなる」",
"306001411_5": "「これが人類を護る装者とは笑わせる。\\n ……いや、こいつが出来損ないなだけか?」",
"306001411_6": "「……許しません」",
"306001411_7": "「ん?」",
"306001411_8": "「マリア姉さんを傷付ける人……」",
"306001411_9": "「悲しませる人……」",
"306001411_10": "「泣かせる人は、絶対に許しませんッ!!」",
"306001411_11": "「お前は、話を聞いていたのか? こいつはお前の姉では――」",
"306001411_12": "「たった1人の姉さんだから――ッ!",
"306001411_13": "「Gatrandis babel ziggurat edenal\\n Emustolronzen fine el baral zizzl――」",
"306001411_14": "「Gatrandis babel ziggurat edenal\\n Emustolronzen fine el zizzl……」",
"306001411_15": "「り、理解できん……ッ! 完全に存在しない絆のために、\\n なぜ……くッ! ネフィリム、この妄想狂を――」",
"306001411_16": "(あの時、わたしを助けてくれたセレナ……、\\n 今度は、わたしが助ける番)",
"306001411_17": "(……もう2度と、この子を、\\n セレナを失うわけにはいかない……ッ!)",
"306001411_18": "(わたしはこの子の本当の姉じゃない……けれどッ!\\n 今この場で妹を助けられるのは、わたししかいないッ!)",
"306001411_19": "「Gatrandis babel ziggurat edenal\\n Emustolronzen fine el baral zizzl――」",
"306001411_20": "「Gatrandis babel ziggurat edenal\\n Emustolronzen fine el zizzl……」",
"306001411_21": "「くッ……」",
"306001411_22": "(これしきの……負荷……なんて……\\n ――ッ!?)",
"306001411_23": "(なにッ!? 身体が楽に……負荷が消えていく……)",
"306001411_24": "「これは……?\\n わたしと、セレナのアガートラームが輝いてるッ!?」",
"306001411_25": "「聖遺物同士の共鳴……? 絶唱のフォニックゲインと負荷を\\n あいつが、セレナが吸収しているだとッ!」",
"306001411_26": "「まさかこれが、セレナの特性……ッ!\\n 完全体のネフィリムを退かせるほどの力……だとッ!」",
"306001411_27": "「なんデスかッ!?\\n このとんでもなくとんでもない光は……?」",
"306001411_28": "「綺麗な……奇跡の形……」",
"306001411_29": "「セレナが……わたしの絶唱負荷を……。\\n 結局、また護られているのは……わたし……?」",
"306001411_30": "「――違うよ、マリア姉さん」",
"306001411_31": "「感じるの、マリア姉さんの力を。\\n わたしを包み込んで、護ってくれている」",
"306001411_32": "「すごく温かくて、優しい力――」",
"306001411_33": "「……セレナ」",
"306001411_34": "「これが絆の力とでも言うのかッ!?\\n そのような不確かでくだらないモノが……」",
"306001411_35": "「わたしの絶唱のエネルギーが、\\n すべてセレナに集中している……ッ!」",
"306001411_36": "(あの時、姉さんたちが見せてくれた綺麗な虹色の光――\\n あれがそう――絆の形ッ!)",
"306001411_37": "「そしてこれも――」",
"306001411_38": "「わたしとマリア姉さんの2人のフォニックゲイン……わたしの\\n 束ねるこの力は、想い合う妹と姉の――絆の力ッ!」",
"306001411_39": "「何だッ! 何が起こっているんだッ!?\\n こんな不測は――うえあッ!?」",
"306001411_40": "「あなたには、絶対にわからない力です」",
"306001411_41": "「セレナから……力が流れ込んでくる……ッ!\\n とても温かい、力が……ッ!」",
"306001411_42": "「アタシもデスッ!\\n なんだか、身体がポカポカするデス」",
"306001411_43": "「ネフィリムの熱も、カルマノイズの呪いも消えていく……」",
"306001411_44": "「これが、セレナの力デスか……ッ!」",
"306001411_45": "「今なら……もう一度……ッ!」",
"306001411_46": "「立ち上がれる……気がするデス……ッ!」",
"306001411_47": "「調、切歌ッ!」",
"306001411_48": "「ネフィリムの力が弱まってる……。\\n セレナが吸収して、わたしたちに分け与えてくれたんだ……ッ!」",
"306001411_49": "「メチャクチャ元気が出てきたデースッ!」",
"306001411_50": "「う、うう……。完全体のネフィリムに、\\n カルマノイズの力までを与えた完全が、どう、して……ッ!」",
"306001411_51": "「完全なんてありませんッ!」",
"306001411_52": "「みんな完全じゃないからッ!」",
"306001411_53": "「肩を寄せあってッ!」",
"306001411_54": "「力を合わせてッ!」",
"306001411_55": "「生きてるんです――ッ!」",
"306001411_56": "「月読さん、暁さん、マム、わたし、\\n そしてマリア姉さん……わたしたち、家族みたいにッ!!」",
"306001411_57": "「こんな……こんな事が、人間に可能だとは……ッ!」",
"306001411_58": "「マリア姉さん……みんな……一緒に戦ってくれる?\\n 家族の、絆の力をこの人に見せたいの」",
"306001411_59": "「セレナ、本当にいいの?\\n わたしはあなたの姉じゃ――」",
"306001411_60": "「ごめんなさいッ!」",
"306001411_61": "「え……ッ!」",
"306001411_62": "「本当は、知ってた」",
"306001411_63": "「わたしが囮になるって作戦をマムから聞いたときに、\\n マムに確認したの――」",
"306001411_64": "「……危険な作戦ですが、これは拒否できない作戦指令です。\\n 理解して貰えますね」",
"306001411_65": "「……はい。\\n でも、その代わりひとつだけ聞いてもいいですか……?」",
"306001411_66": "「質問に答えることが代償となるなら、\\n どんな事にでも答えましょう」",
"306001411_67": "「マリア姉さんは……、\\n わたしのもとに来てくれたマリア姉さんは……」",
"306001411_68": "「本当の、姉さんじゃないんですよね……?」",
"306001411_69": "「……気づいて、いたのですか」",
"306001411_70": "「少しだけ、本当は最初から違和感がありました」",
"306001411_71": "「でもそれはきっと、7年って言う時間の中での変化だって、\\n 自分に言い聞かせていました。考えたくなかったから……」",
"306001411_72": "「あなたにショックを与えないための配慮の\\n つもりだったのですが……」",
"306001411_73": "「それじゃあ、やっぱり姉さんは……」",
"306001411_74": "「……わかりました。本当の事を、話しましょう……」",
"306001411_75": "「――だけどその事を口に出したら、1人になっちゃう……」",
"306001411_76": "「マリア姉さんが姉さんじゃなくなってしまうんじゃ\\n ないかって思って……」",
"306001411_77": "「…………怖いよ」",
"306001411_78": "(わたしは、独りなの?\\n 姉さんは……姉さんでいてくれるの……?)",
"306001411_79": "「わたしが護るわ。あなたを必ず」",
"306001411_80": "「姉さんは……姉さんだよね……?\\n ずっと離れていても、わたしの大好きな……」",
"306001411_81": "(お願い……答えて、姉さん……)",
"306001411_82": "「……当たり前じゃない、わたしは――」",
"306001411_83": "「わたしは、あなたの姉よ。どんなに離れていても、\\n あなたのことが大好きな、あなたの姉なんだから……」",
"306001411_84": "「だから……」",
"306001411_85": "「……わたしは姉失格ね、大事な妹にそんな不安な思いをさせ\\n てたなんて。自分が妹を再び失うことばかり怖れていた……」",
"306001411_86": "「マリア姉さん……ッ!」",
"306001411_87": "「あなたはわたしの妹よ、セレナ。わたしも、あなたが\\n この不甲斐無い姉を姉さんと呼んでくれて……嬉しいわ」",
"306001411_88": "「ありがとう、姉さん……。\\n わたしの傍に帰ってきてくれて……ッ!」",
"306001411_89": "「ありがとう、セレナ……。\\n あなたの隣にわたしを迎えてくれて……ッ!」",
"306001411_90": "「いったい何の話をしている……ッ! 如何にアガートラームの\\n 絶唱特性があれど、完全体になったネフィリム相手に――ッ!」",
"306001411_91": "「お前に発言権はないッ!」",
"306001411_92": "「ひうぐ――ッ!?」",
"306001411_93": "「わたしたち姉妹の絆を邪魔する奴は――」",
"306001411_94": "「絶対に許しませんッ!」",
"306001411_95": "「アタシたちもいるデスッ! 例え血の繋がりはなくても、\\n 血の繋がった家族以上の家族デスッ!」",
"306001411_96": "「F.I.S.の、家族の絆は永遠ッ!」",
"306001411_97": "「これが、姉妹の、家族の絆の力ですッ!」"
}