{ "101001122_0": "(ダメだ……あたしじゃ相手にならねぇ……。\\n こうなったら――)", "101001122_1": "「それじゃあ、ごきげんよう」", "101001122_2": "「とりゃぁぁッ!」", "101001122_3": "「無駄な足掻きを――」", "101001122_4": "「……そういうこと。勝てないと悟って逃げるなんて、\\n あの子にしては聡いことをするじゃないの」", "101001122_5": "「逃げたところで、ひとりで何ができるわけでもないのに」", "101001122_6": "「……さて、追っ手のノイズから、\\n いつまで逃げ続けられるかしらね?」", "101001122_7": "「ビンゴですッ!\\n 雪音クリス、現在16歳」", "101001122_8": "「……あの、少女だったのか」", "101001122_9": "「過去に選抜されたギア装着候補のひとりですが、\\n 2年前テロに巻き込まれて以来、行方知れずとなっていました」", "101001122_10": "「……それがまさか、\\n イチイバルと共に敵の手に渡っていたとは」", "101001122_11": "「聖遺物を力に変えて戦う技術において、\\n 我々の優位性は完全に失われてしまいましたね」", "101001122_12": "「敵の正体、フィーネの目的は……」", "101001122_13": "「深刻になるのは分かるけど、うちの装者はふたりとも健在。\\n 頭を抱えるにはまだ早すぎるわよ?」", "101001122_14": "「翼ッ! まったく、無茶しやがって」", "101001122_15": "「独断については謝ります。ですが、仲間の危機に伏せっている\\n などできませんでしたッ!」", "101001122_16": "「立花は未熟な戦士です。半人前ではありますが、\\n 戦士に相違ないと確信しています」", "101001122_17": "「翼さん……」", "101001122_18": "「完璧には遠いが、立花の援護くらいなら、\\n 戦場に立てるかもな」", "101001122_19": "「……わたし、頑張りますッ!」", "101001122_20": "「そう言えば、響くんのメディカルチェックの結果も\\n 気になるところだが……」", "101001122_21": "「少し疲れはありますけど、\\n 大きな怪我はありませんし、大丈夫ですッ!」", "101001122_22": "「んー、そうねぇ。\\n どれどれ?(つんつん)」", "101001122_23": "「にょあああああああぁッ!?\\n なななな、なんてことをッ!?」", "101001122_24": "「響ちゃんの心臓にあるガングニールの破片が、\\n 前より体組織と融合しているみたいなの」", "101001122_25": "「驚異的なエネルギーと回復力はそのせいかもね」", "101001122_26": "「融合……ですか?」", "101001122_27": "(聖遺物と人の融合……? 立花の体は大丈夫なのか……?)", "101001122_28": "(――いや、問題を孕んでいるのならば、\\n 櫻井女史が軽々に話題にすることはないはずだ)", "101001122_29": "「ふむ……ならば響くんの体に問題はないのだな?」", "101001122_30": "「はいッ!\\n ご飯をいっぱい食べて、ぐっすり眠れば元気回復ですッ!」", "101001122_31": "(……そうだよ、一番あったかいところで眠れれば……未来――)", "101001122_32": "「た、ただいまー……」", "101001122_33": "「ねえ、未来……。\\n なんていうか、つまり、その……」", "101001122_34": "「おかえり」", "101001122_35": "「あ……うん。ただいま。\\n ……あの、入っても、いい……かな?」", "101001122_36": "「どうぞ。あなたの部屋でもあるんだから」", "101001122_37": "「うん……。あ、あの……ね……」", "101001122_38": "「何? 大体のことなら、あの人たちに聞いたわ。\\n 今さら聞くことなんてないと思うけど」", "101001122_39": "「……未来」", "101001122_40": "「嘘つきッ!\\n 隠し事はしないって言ったくせにッ!」", "101001122_41": "「未来、聞いて欲しいんだ。わたし――」", "101001122_42": "「どうせまた嘘つくんでしょ。\\n わたし、もう寝るから」", "101001122_43": "「……ごめん」", "101001122_44": "(……嘘つくつもりなんて、なかったのに。\\n ただ、未来を巻き込みたくなかっただけなのに……)", "101001122_45": "「………………」", "101001122_46": "「……ここ、いいかな?」", "101001122_47": "「………………」", "101001122_48": "「あのね、未来。わたし……」", "101001122_49": "「なんだかいつもと雰囲気が違うのですが?」", "101001122_50": "「どういうことー? よくわかんないから、アニメで例えてよ」", "101001122_51": "「これはきっとビッキーが悪いに違いない。\\n ごめんねー、ヒナ。この子馬鹿だから許してあげて」", "101001122_52": "「そういえば、レポートのこと先生が仰ってましたが……」", "101001122_53": "「提出してないの、あんたひとりだってね~。\\n 大した量じゃないのに、何やってんだか」", "101001122_54": "「あはは……」", "101001122_55": "「ビッキーってば、ナイショでバイトとかしてるんじゃない?」", "101001122_56": "「……あ」", "101001122_57": "「ええッ!? 響がバイトぉッ!?」", "101001122_58": "「それってナイスな校則違反では?」", "101001122_59": "「……ッ!」", "101001122_60": "「未来ッ!」", "101001122_61": "「……もしかしてわたしたち、\\n 何かマズイこと言っちゃった?」", "101001122_62": "「未来……」", "101001122_63": "「………………」", "101001122_64": "「……ごめんなさい」", "101001122_65": "「どうして響が謝ったりするの?」", "101001122_66": "「未来は、わたしに対して隠し事しないって言ってくれたのに、\\n わたしは、未来にずっと隠し事してた……。わたしはッ!」", "101001122_67": "「言わないで」", "101001122_68": "「あ……」", "101001122_69": "(未来、泣いて……)", "101001122_70": "「わたしは響の友達でいられない……」", "101001122_71": "「ごめんッ!」", "101001122_72": "「――――――――」", "101001122_73": "「……どうして……こんな」", "101001122_74": "「いやだ……いやだよぉ……」", "101001122_75": "「うッ、ひッ……ぅ、ぅあぁああぁ……ッ」" }