{ "321000321_0": "「仕方ありません。\\n 投薬する薬の量を増やしましょう」", "321000321_1": "「わかりました」", "321000321_2": "「マム、何かあったんデスか?」", "321000321_3": "「戻りましたか」", "321000321_4": "「また発作が起きたんです」", "321000321_5": "「――ッ!? だ、大丈夫なんデスよね?」", "321000321_6": "「今はまだ大丈夫だと思いますが、\\n 薬の効果も薄れてきているので、あまり猶予はありません」", "321000321_7": "「そんな、一体どうすればいいんデスか……」", "321000321_8": "「S.O.N.G.には伝えて頂けましたか?」", "321000321_9": "「勿論デス。\\n 毒についてS.O.N.G.でも調べるって言ってたデスよ」", "321000321_10": "「ただ、増援はすぐには難しそうデス……」", "321000321_11": "「そうですか。まずはご苦労様です」", "321000321_12": "「あなたのいない間に、新たな情報が入りました」", "321000321_13": "「新たな情報?」", "321000321_14": "「ヴァンパイアの本拠地が判明しました」", "321000321_15": "「本当デスかッ!?」", "321000321_16": "「調査隊を送った場所のひとつ、\\n とある古城付近で、ミイラ化した遺体が複数発見されました」", "321000321_17": "「他にも多数の痕跡が見つかり、間違いはないかと」", "321000321_18": "「なら早速乗り込むデスッ!」", "321000321_19": "「待ってください」", "321000321_20": "「装者4人がかりでも歯が立たなかった相手です。\\n 流石にあなた1人では……」", "321000321_21": "「猶予がないって言ってたのはマムデスよ。\\n 悩んでいる暇なんてないデスッ!」", "321000321_22": "「ですが……」", "321000321_23": "「……すみません、わかってはいるのです」", "321000321_24": "「今、セレナたちを救える可能性があるのは、\\n あなただけだということを、ですが……」", "321000321_25": "「この状況はあまりにも……、\\n 切歌、もしあなたまで――」", "321000321_26": "「マムは、難しく考えすぎデス。\\n アタシに任せておけばなんも問題ないデスよ」", "321000321_27": "「3人とも、アタシが必ず助けてみせるデス」", "321000321_28": "「それに、秘策もあるデス」", "321000321_29": "「……秘策?」", "321000321_30": "「……」", "321000321_31": "「……」", "321000321_32": "「……」", "321000321_33": "「それじゃ、行ってくるデスよ、みんな」", "321000321_34": "「きり……ちゃん……?」", "321000321_35": "「調……気づいたデスか」", "321000321_36": "「うん……」", "321000321_37": "「切ちゃん、今、行ってくるって……どこに行くの?」", "321000321_38": "「ん? あ、ああ。ちょっとした野暮用デスよ」", "321000321_39": "「そっか……」", "321000321_40": "「いってらっしゃい。早く帰ってきてね」", "321000321_41": "「心配しなくてもすぐ戻ってくるデスよ」", "321000321_42": "「……すぅ……すぅ……」", "321000321_43": "(眠ったみたいデス)", "321000321_44": "(今は安定しているようデスが、\\n いつまた発作が襲ってくるか……)", "321000321_45": "(早くなんとかしないと、調たちはどんどん……)", "321000321_46": "(そんなこと、絶対にさせないデス)", "321000321_47": "「……行ってくるデス」", "321000321_48": "「こうして歩いてきたデスけど……」", "321000321_49": "「まさか1人で、こんな遠くまで来るとは……」", "321000321_50": "(マムが用意してくれたヘリが蝙蝠たちに落とされちゃったから、\\n 仕方ないんデスけどね……)", "321000321_51": "「それにしても、周りに何も無さすぎデスよッ!」", "321000321_52": "「GPSがあるからって、こう何も無いと\\n 本当に正しい方向に進んでるのか不安になるデス……」", "321000321_53": "「このまま進んでちゃんと辿り着くんデスかね……?」", "321000321_54": "「はあ……」", "321000321_55": "「お腹も空いたし、少しだけ休憩するデス」", "321000321_56": "「確か、リュックに研究所の人が用意してくれた食べ物が――」", "321000321_57": "「こ、これはッ!?」", "321000321_58": "「『竹の木の小枝・イチゴ味』デスッ!」", "321000321_59": "「こんなお菓子見たことないデスッ!\\n 流石のアタシもこれには驚きを禁じ得ないデスよ」", "321000321_60": "「いただくデスッ!」", "321000321_61": "「ん~、ポリポリ食感にイチゴクリームの\\n マイルドな甘さがベストマッチデスよッ!」", "321000321_62": "「調ッ! 調もこれを食べて――」", "321000321_63": "「……あ」", "321000321_64": "「そうだったデス……」", "321000321_65": "「今はアタシ1人だったデスね」", "321000321_66": "「はむっはむはッ……ゴクンッ!」", "321000321_67": "「ゆっくりしてる場合じゃなかったデス。\\n アイツの居場所に急がないとッ!」", "321000321_68": "(調……待ってるデスよ。\\n すぐに治してあげるデスッ!)", "321000321_69": "「……ッ!」", "321000321_70": "「お出迎えみたいデスね……」", "321000321_71": "「Zeios igalima raizen tron――」", "321000321_72": "「さあ、道をあけてもらうデスよッ!」" }