{ "314000732_0": "「こっちに来いって言ってるだろッ!」", "314000732_1": "「クソッ。普通のギアじゃ、穂がまともに通りやしない」", "314000732_2": "「グガアアアアア――ッ!」", "314000732_3": "「く――ッ!」", "314000732_4": "「くッ!\\n あんなのまともに食らったら、ひとたまりもないっての」", "314000732_5": "(しかもこいつ、どんなに誘導しようとしても、\\n 2人と本部の方へ直進し続ける)", "314000732_6": "(錬金術師から、そういう命令を受けてるのか?)", "314000732_7": "(なんにしても……あいつらの所まで、もう距離がほとんどない)", "314000732_8": "(ここで倒すしかないってことかよッ!)", "314000732_9": "「グウウウウウ――」", "314000732_10": "「それ以上進ませるかッ、このデカブツがッ!」", "314000732_11": "「ここであいつらになにかあったら、\\n 翼に合わせる顔がないんだよッ!」", "314000732_12": "「だから止める……、\\n たとえ……あたしの命に代えてでもッ!」", "314000732_13": "「奏ちゃん。聞こえる?」", "314000732_14": "「了子さんッ!?」", "314000732_15": "「仕方ないわ、ブリーシンガメンの使用を許可するわ」", "314000732_16": "「いいのか?」", "314000732_17": "「このままでは、どちらにしても全滅よ。\\n それなら、少しでも可能性が高い選択に賭けましょう」", "314000732_18": "「……待ってましたッ!」", "314000732_19": "「私たち全員の命を、あなたに預けるわ」", "314000732_20": "「必ず、負の感情、暴走の衝動に打ち勝って。いいわね?」", "314000732_21": "「ああ――わかってるさ」", "314000732_22": "「ブリーシンガメンッ……あたしに力を貸せッ!!」", "314000732_23": "「うおおおおおお――――――ッ!!」", "314000732_24": "「グルルルル……?」", "314000732_25": "「ぐあああああ………………ッ!」", "314000732_26": "「奏ちゃんッ!? やはりまだ――」", "314000732_27": "「うあああああ――――――ッ!」", "314000732_28": "『……本当に、懲りないやつだよ』", "314000732_29": "「うる、さい……お前は、あたしじゃ、ない……」", "314000732_30": "「昔の、あたしの、心を、真似してる、だけ、だろうが……」", "314000732_31": "『どうかな? だが、嘘を言ってないのはわかってるだろう?』", "314000732_32": "「うるさいッ! 早く、力を、貸せ……ブリーシンガメン……」", "314000732_33": "『あんな化け物相手に、なんで身を晒さないといけないのさ?』", "314000732_34": "「当たり前だろう……仲間の……ためだ」", "314000732_35": "『知り合ったばかりの奴らの仲良しごっこにほだされたか?』", "314000732_36": "「あいつらは……翼の、大事な仲間だ……。\\n なら、あたしの仲間でもあるんだよッ!」", "314000732_37": "『翼、翼、翼ッ! まったく、お前はそればっかりだ』", "314000732_38": "『あいつこそが、お前の苦しみの、元凶だろう?』", "314000732_39": "「違うッ!」", "314000732_40": "『違うものかよ』", "314000732_41": "『思い出せ、お前があいつをどれだけ憎んでいたかを。\\n 羨んでいたかを』", "314000732_42": "「そんなのは……昔の話だ。今は、違う……」", "314000732_43": "『人間が、お前が、そんな簡単に変われると思っているのか?』", "314000732_44": "『ずっと抱え込んだ苦しみが、憎しみが、捨て去れるとでも?』", "314000732_45": "『どれもこれも、あいつの――翼のせいだというのに?』", "314000732_46": "「うるさい、黙れッ!」", "314000732_47": "『覚えているんだろう?\\n あの時、あいつが、どんな顔をしたかを――』", "314000732_48": "「やめろぉぉぉ――ッ!」" }