{ "322000631_0": "「どうやら洞窟は抜けたみたいだな」", "322000631_1": "「ええ、ようやく遺跡に戻ってこれたわね」", "322000631_2": "「罠に分断されたとはいえ目指す目的は同じ。\\n 遺跡の奥に向かえば2人とも合流できるか」", "322000631_3": "「そう願いたいわ」", "322000631_4": "「しかし、この分では中枢に近づくほど、\\n より危険な罠が待ち構えている可能性が高いな」", "322000631_5": "「ええ、よほど護りたい何かがあるみたいね」", "322000631_6": "「とにかく、急いでセレナたちと合流しましょう」", "322000631_7": "「ああ」", "322000631_8": "「足元が崩れるぞッ、ワイヤーを放つ、掴まれッ!」", "322000631_9": "「ええッ!」", "322000631_10": "「く――ッ! 毒ガスかッ!」", "322000631_11": "「わたしのギアにはガスマスクがあるッ!\\n 一気に踏み込んで……」", "322000631_12": "「ガス噴射機構を壊すッ!」", "322000631_13": "「フッ――お互い対応能力が上がったな」", "322000631_14": "「ええ、これはまさに遺跡探索用のギアだもの」", "322000631_15": "「待て、マリア、気を付けろ。\\n そこにセンサーが張られている」", "322000631_16": "「わかったわ。\\n センサーさえ見えていれば、罠が始動することさえないわね」", "322000631_17": "「今度は通路を塞ぐ岩板か。\\n 先客が既に掛かった罠となると、回避のしようもない」", "322000631_18": "「ここはわたしの出番ね。岩板に爆弾をセットして――」", "322000631_19": "「爆破するッ!」", "322000631_20": "「これで進めるわ」", "322000631_21": "「便利ではあるが、随分と物騒な能力だな……」", "322000631_22": "「時とともに遺跡は埋もれるもの。罠まであれば、なおさら\\n 爆破能力は必要よ。さ、進みましょう」", "322000631_23": "「あ、ああ……」", "322000631_24": "「素晴らしい機能を備えたギアね……。\\n 最初、あれだけ罠に苦労したのが嘘みたいだわ」", "322000631_25": "「まったくだ。\\n 途中からマリアは爆破ばかりしていたような気もするが」", "322000631_26": "「その場その場で有効な手段を取っただけよ」", "322000631_27": "「助かっているのだから構わないが、\\n 遺跡調査で次々爆破というのも……?」", "322000631_28": "「これも調査の範疇よ。ともかく、この前の錬金術師を\\n 追い詰めた時にこれがあればね……」", "322000631_29": "「確かにな。だがあの経験があったからこそ、\\n こうして心象変化を成功させることができたのかもしれない」", "322000631_30": "「ええ、そうね」", "322000631_31": "「さて。もう結構降りてきたと思うのだけど」", "322000631_32": "「ああ。元の遺跡がどれだけ巨大な建造物であっても、\\n そろそろ底だろう」", "322000631_33": "「セレナたちには合流できないままね。相当広いようだから、\\n 完全に別ルートから向かっているのかしら」", "322000631_34": "「盗掘団が先に入り込んでいる以上、\\n 大事を取って一旦撤退……という選択も無いだろうな」", "322000631_35": "「少なくともその理由で撤退はしないわね」", "322000631_36": "「特にセレナの場合、\\n お宝を見つけるまで帰らないって言いださないか心配だわ」", "322000631_37": "「確かに、随分と楽しそうだったからな」", "322000631_38": "「一番奥で合流、という形になるかもしれないわね」", "322000631_39": "「できれば、\\n こちらが先着して、最奥の罠を外しておきたいが……」", "322000631_40": "「それにしても一体、この遺跡はなんの――」", "322000631_41": "「待て、足音だ。噂をすればなんとやらか」", "322000631_42": "「今度は盗掘団ね、\\n よくもまあこんな場所まで入り込んで……」", "322000631_43": "「なんだぁーお前たちはッ!?\\n こんな所に女どもがッ!」", "322000631_44": "「コイツらきっと政府の連中だッ!\\n 始末しちまおうぜッ!」", "322000631_45": "「クックック、ツイてねえなあお前ら。俺たちには無敵の――」", "322000631_46": "「アルカ・ノイズでしょ。さっさと出しなさい」", "322000631_47": "「お、おう。……吠え面かくなよッ!?\\n ちょっとでも触れたらお陀仏だからなッ!」", "322000631_48": "「この流れを何度繰り返せばいいのやら……」", "322000631_49": "「面倒な罠よりはずっと楽でいいけど」" }