{ "321000631_0": "「ナスターシャ教授……」", "321000631_1": "「なんですか?」", "321000631_2": "「お客様がお見えになっています」", "321000631_3": "「後にしてもらってください。\\n 今はとても手が放せません」", "321000631_4": "「いえ、それがS.O.N.G.からのご使者と……」", "321000631_5": "「なんですって?」", "321000631_6": "「これが――」", "321000631_7": "「はい、切歌ちゃん経由でいただいたデータを、\\n S.O.N.G.の研究員が解析した途中結果が入ってます」", "321000631_8": "「既に分析済のものと重複している可能性も\\n あります……とのことですが」", "321000631_9": "「いえ、今は少しでも多角的な視点と分析データが欲しいところです。\\n 助かります」", "321000631_10": "「さっそく、データを拝見しましょう」", "321000631_11": "「それで、マリアさんたちは?」", "321000631_12": "「メディカルルームです。\\n ……少しついていてあげていただけますか?」", "321000631_13": "「はい、是非」", "321000631_14": "「では、ご案内いたします」", "321000631_15": "「あの短時間でこれだけのパターンの解析データを……」", "321000631_16": "「これまでもデータ越しのやりとりだけですが、\\n S.O.N.G.の研究担当者は、大したものですね」", "321000631_17": "「ですが……有能だからこそ、\\n はっきりわかってしまうこともある」", "321000631_18": "「これだけの多角的なアプローチと分析力をもってしても、\\n この結果止まりとは……」", "321000631_19": "「あの呪いに対抗するのは、\\n やはり一筋縄ではいかないということですね……」", "321000631_20": "「う……うう……」", "321000631_21": "「くッ……ああッ……」", "321000631_22": "「はあ、はあ、はあ、……」", "321000631_23": "「3人とも苦しそう……」", "321000631_24": "「もう少しの辛抱だよ。\\n みんながいれば、きっと……」", "321000631_25": "「だから……もう少しだけ、頑張って……」", "321000631_26": "「あれがそうデスか……」", "321000631_27": "「ああ、そうだ。\\n あの城こそ忌々しきヴァンパイアの本拠地だ」", "321000631_28": "「やっと辿り着いたデス……」", "321000631_29": "「まさか、こんな遅くなるとは思わなかったデスよ……」", "321000631_30": "「奴の下僕の守りが固くて時間を食いすぎたな……」", "321000631_31": "「今頃は奴らも力を増している頃合いだろう」", "321000631_32": "「今仕掛けるべきか、日が昇るのを待つべきかは、\\n 慎重に考えたほうがいいだろうな」", "321000631_33": "「それは……」", "321000631_34": "(こうしている間にも、みんなは苦しんでるデスよ)", "321000631_35": "(明日までもつという保証は、どこにもないデス……)", "321000631_36": "「このまま一気に城まで進むデスよッ!」", "321000631_37": "「そうか……それがお前の決断なら、止めはしまい」", "321000631_38": "「それじゃあ、行くデスッ!」", "321000631_39": "「――止まれッ!!」", "321000631_40": "「――えッ!?」", "321000631_41": "「勢いよく踏み出した途端に止めないでほしいデスッ!」", "321000631_42": "「一体どうしたんデスか?」", "321000631_43": "「あそこを見ろッ!」", "321000631_44": "「あそこ……?」", "321000631_45": "「月明かりの下に、何かでっかいのがいるデスッ!」", "321000631_46": "「な……デカいオオカミデスッ!?」", "321000631_47": "「奴の力が増している証拠だろうな」", "321000631_48": "「気配からしても、これまでのような雑魚とは格が違う。\\n 油断するな」", "321000631_49": "「わかってるデスよッ!」", "321000631_50": "「でも……あくまで邪魔をするっていうなら――」", "321000631_51": "「Zeios igalima raizen tron――」", "321000631_52": "「この碧刃イガリマで切り倒していくまでデスッ!!」" }