{ "404000132_0": "「響くん、どうかしたのか?」", "404000132_1": "「師匠。ミーナさん見ませんでした?」", "404000132_2": "「いや、発令所には来ていないが……」", "404000132_3": "「さっき買い出しに出た時に見かけたわよ」", "404000132_4": "「急用なら、連絡してみるかい?」", "404000132_5": "「あ、いえ。急用ってほどでもなくて。\\n 見かけたのってどの辺りですか?」", "404000132_6": "「駅前の商店街の辺りよ。\\n 駅を背にして、アーケードを住宅街の方へ歩いていたと思う」", "404000132_7": "「住宅街の方ですね、わかりましたッ!」", "404000132_8": "「……」", "404000132_9": "(……わからない。考えても考えても……)", "404000132_10": "(わたしは、どうすればよかったんだろう……)", "404000132_11": "「世界蛇を倒すためにスクルドを作って、\\n ずっと戦ってきて……」", "404000132_12": "(でも、その戦い方は、わたしの考えは――)", "404000132_13": "「……」", "404000132_14": "(あの時、なんの力もないはずの人々の想いがあったから、\\n わたしはこうしてミョルニルを再び手にできた)", "404000132_15": "(誰かを、慈しむ心。護ろうとする魂の輝き……)", "404000132_16": "(わたしには無いもの……)", "404000132_17": "「でも、人ならきっと、誰もが持っているはずのもの……」", "404000132_18": "(それこそが、本当の力なのかもしれない。\\n でも――)", "404000132_19": "(……だとしたら、今までわたしが目を背けていた世界は。\\n 犠牲になった人々や、仲間たちは……?)", "404000132_20": "「……見捨てたのも、殺したのも、わたし……」", "404000132_21": "(今まで見てきた装者たちは、\\n 洗脳され、戦いのために使役される、哀れな人形)", "404000132_22": "(ただ組織の敵と定められたノイズを、敵を倒すためだけに\\n 鍛えられ、戦わされていた者たち)", "404000132_23": "(……でも、それはわたしと何が違うんだろう)", "404000132_24": "(世界蛇を敵と定め、その敵を倒すために戦い、\\n 可能性に目を瞑り、人は無力と決めつけ、多くを見捨ててきた)", "404000132_25": "(それが当たり前と思って……)", "404000132_26": "「わたし1人では、世界蛇は倒せない。\\n もう、とうにそんな段階は通り過ぎている」", "404000132_27": "(そう、それが可能だったなら、\\n 最初の邂逅で終わっていたはず)", "404000132_28": "(勝てないのがわかっていて、戦っているつもりになって、\\n 多くの世界を見捨てて……)", "404000132_29": "「わたしは……なんて滑稽なの……」" }