{ "402001432_0": "「白銀の輝き、アガートラームが希望……」", "402001432_1": "(姉さんたちは、わたしを信じてくれてる。\\n わたしのことを希望だって――)", "402001432_2": "(戻らなきゃ。戻って、みんなを助け――)", "402001432_3": "「あ、あれは……世界蛇の眷属なのか……?\\n うくッ……はあ、はあ……」", "402001432_4": "「ドヴェルグさんッ! 大丈夫ですかッ!?\\n しっかりしてくださいッ!」", "402001432_5": "「嫌なにおいが、ここまで漂ってきて……、\\n 息が、できない――」", "402001432_6": "「しっかりしてくださいッ!\\n ドヴェルグさん」", "402001432_7": "「う、く……うぅ……」", "402001432_8": "「え――ッ!?」", "402001432_9": "(……ッ! これは、ドヴェルグさんの記憶――ッ!\\n わたしの中に流れ込んでくる……)", "402001432_10": "「ダメだッ! それを見るな……ッ!」", "402001432_11": "(――そうだったんだ。だから、ドヴェルグさんは1人に……)", "402001432_12": "「油断してた……あんな醜いものを、見せたくなかった……」", "402001432_13": "「ごめんなさい……」", "402001432_14": "「あなたは……あなたたちは、\\n 人間が大好きでみんなの役に立ちたいと思っていたのに……」", "402001432_15": "「人間は、それを争いの道具にして、\\n 最後にはあなたたちを――」", "402001432_16": "「…………」", "402001432_17": "「ごめんなさい……。\\n どんなに謝っても許されないことだと思います……」", "402001432_18": "「力を貸してくれなんてもう言いません。\\n ううん、言えません……」", "402001432_19": "「見たなら、わかるだろう。\\n 世界蛇も、オレたちが作ったんだ……」", "402001432_20": "「でもッ! あれは戦いを終わらせるためだって\\n あなたたちを騙した人間が――」", "402001432_21": "「そうだッ! だからオレは、例え世界蛇が、\\n 並行世界を滅ぼして回ろうと知ったことじゃないッ!」", "402001432_22": "「自業自得なんだよッ! 人間はッ!\\n 滅んでしまえばいいッ! あんな醜い生き物ッ!」", "402001432_23": "「世界蛇と人間に、なんの違いがあるって言うんだッ!」", "402001432_24": "「返してくれ……オレの仲間たちを返せよッ!」", "402001432_25": "「わたし、あなたに何もしてあげられない……」", "402001432_26": "「くッ……」", "402001432_27": "「……オレ自身も世界蛇と変わらないのかもしれない。\\n 憎悪にまみれて、人間を滅ぼしたいと願っている……」", "402001432_28": "「……一番醜いのは、オレ自身……」", "402001432_29": "「醜くなんてありませんッ!\\n あなたは、とっても優しい方です……」", "402001432_30": "「優しいからこそ、こんなにも深く、\\n 傷ついてしまったのだと思います……」", "402001432_31": "「本当に、ごめんなさい……」", "402001432_32": "「お前……オレの為に、涙を……ッ!」", "402001432_33": "「だって、こんなの悲しすぎます……」", "402001432_34": "「あなたはただ優しい世界にしたかっただけなのに、\\n あんなことになって、責任を感じて、たった1人で……」", "402001432_35": "「……いい、におい……、\\n やっぱり、お前は優しい心のにおいがする」", "402001432_36": "「……なあ、1つだけでいい。\\n 頼みがあるんだ……」", "402001432_37": "「……はい。わかっています」", "402001432_38": "(先ほど、記憶に触れた時に感じた想い。\\n きっとそれが――)", "402001432_39": "「ドヴェルグさん、\\n いいえ、『ヴェイグ』さん」", "402001432_40": "「あなたに付けられた名前はヴェイグ。\\n 誰よりも優しく、そして強い者を意味する言葉――」", "402001432_41": "「ありがとう、ヴェイグさん」", "402001432_42": "「ああ……そうだ。\\n ずっと、その言葉を聞きたかったんだ……」", "402001432_43": "「一人前になったオレの名前を、誰かが呼んでくれる。\\n そして、オレにお礼の言葉をくれる」", "402001432_44": "「ずっと……ずっと、それだけが欲しかったのに……。\\n なのに――ッ! う、ううう…………」", "402001432_45": "「ヴェイグさん……ありがとうございます」", "402001432_46": "「みっともないところを見せてしまったな」", "402001432_47": "「そんなことありません。\\n それより、少しでも力になれたなら、よかったです」", "402001432_48": "「なあ、ミレニアムパズルの言い伝えは知ってるだろ?」", "402001432_49": "「え?」", "402001432_50": "「攻略できれば、ドヴェルグが力を貸すって言い伝えだ」", "402001432_51": "「……それは……」", "402001432_52": "「お前に力を貸してやる。\\n オレに何をしてほしい?」", "402001432_53": "「わたしは――」", "402001432_54": "(世界蛇と戦うのに協力してほしい……、\\n でもそれは、再びヴェイグさんを争いに巻き込むことに……)", "402001432_55": "「…………」", "402001432_56": "(マリア姉さん、みなさん……、ごめんなさい……)", "402001432_57": "「……それなら、わたしを姉さんのところへ\\n 送ってくれませんか?」", "402001432_58": "「ッ!? お前、戦うつもりかッ!?」", "402001432_59": "「はい。わたしは、今戦わなきゃいけないんです……」", "402001432_60": "「オレは、お前にあんなのと戦ってほしくない……」", "402001432_61": "「アレは世界蛇の眷属、\\n あんなのと戦ったら、無事じゃすまないぞッ!」", "402001432_62": "「……まだ半人前のわたしじゃ、力になれないかもしれません」", "402001432_63": "「だったらッ!」", "402001432_64": "「あなたの言う通り、わたしとヴェイグさんは似てますね」", "402001432_65": "「――ッ!?」", "402001432_66": "「わたしはわたしの仲間のために、今戦わないといけないんです。\\n きっと、戦わなければ後悔しますから……」" }