{ "333001111_0": "父との和解", "333001111_1": "「存外に早かったですね。\\n 直接二課に向かいますか?」", "333001111_2": "「ああ。米国聖遺物研究所との関係調整に加え、\\n シンフォギア・システム再開発の是非についての協議」", "333001111_3": "「まだまだ仕事は山とあるからな――」", "333001111_4": "「――ッ!」", "333001111_5": "「どうかしましたか?」", "333001111_6": "「いや、君は先に戻っていてくれ。\\n 私は、歩いて戻る」", "333001111_7": "「ですが――、\\n ……わかりました」", "333001111_8": "「出てきたらどうだ?」", "333001111_9": "「……邪魔、したかな」", "333001111_10": "「いや、私も会いたいと思っていた。\\n 空港では話せなかったからな」", "333001111_11": "「…………」", "333001111_12": "「しかし、こうしてゆっくりと話すのは10年ぶりか……」", "333001111_13": "「大きくなったな、\\n 見違えたぞ」", "333001111_14": "「ああ、父上も、ずいぶんと歳を取ったな。\\n それに、疲れてるようにも見える」", "333001111_15": "「フッ、これでも気苦労の多い仕事なのでね」", "333001111_16": "「あの子は、シャロンは元気か?」", "333001111_17": "「ああ、元気だぞ」", "333001111_18": "「それは、良かった」", "333001111_19": "「…………」", "333001111_20": "「翼……、\\n 私は酷く、お前を傷つけてしまったようだな……」", "333001111_21": "「…………」", "333001111_22": "「……ドゥームズデイのことは聞いている」", "333001111_23": "「弦からの警告を、米国に伝えられていれば……、\\n 今となっては、遅すぎるな……」", "333001111_24": "「…………」", "333001111_25": "「……いまさら、取り繕うつもりはない」", "333001111_26": "「弦のことでお前を傷つけ、\\n 悲しませたのは事実なのだから」", "333001111_27": "「だがな、翼。\\n お前は信じないかもしれないが――」", "333001111_28": "「私は、お前のことを忘れた日など、\\n 1日だってありはしない」", "333001111_29": "「――ッ!」", "333001111_30": "「よくぞ無事で、いてくれたな。\\n ありがとう。翼」", "333001111_31": "「父上……」", "333001111_32": "「私は立場上、\\n 影護という組織を認めるわけにはいかない」", "333001111_33": "「……ああ」", "333001111_34": "「しかし、翼、お前は、これまで通り、\\n 何にも縛られず、自分のやりたいことだけをやるんだッ!」", "333001111_35": "「……父上、わかったよ」", "333001111_36": "「1つ、私からも聞いていいか?」", "333001111_37": "「なんだ?」", "333001111_38": "「弦は……本当に亡くなったのか?」", "333001111_39": "「……間違いないと思う。\\n いくら先生でも、あのドゥームズデイの爆発では……」", "333001111_40": "「だが、亡骸は見ていないのだな?」", "333001111_41": "「それは……そうだけど……」", "333001111_42": "「私には、どうも信じられないのだ。\\n あの弦が、亡くなったということが」", "333001111_43": "「オレだって信じたくないよッ!」", "333001111_44": "「九皐さんか?\\n ああ、わかった」", "333001111_45": "「行くのか?」", "333001111_46": "「うん、行くよ、父上。\\n 話ができてよかった」", "333001111_47": "「私もだ」", "333001111_48": "「それじゃ――」", "333001111_49": "「ああ」", "333001111_50": "「……翼?」", "333001111_51": "「え?」", "333001111_52": "「いいや、何でもない。\\n 身体にだけは気をつけろよ……」", "333001111_53": "「…………」" }