{ "205060311_0": "手紙を求めて③", "205060311_1": "「うう……アタシの手紙は何処へ……」", "205060311_2": "「昨日1日探したけど、どこにも見当たらないデス……。\\n このままじゃ、アタシは……アタシは…………」", "205060311_3": "「……切ちゃん? ど、どうしたのッ!?\\n そんなにフラフラなのに、どこに行く気ッ!?」", "205060311_4": "「調……アタシは、だ、大丈夫……なのデス……。\\n ちょっと、出かけてくるデス……」", "205060311_5": "「あ、あのね、切ちゃん――」", "205060311_6": "「止めてくれるな、デス……。\\n アタシには、やらなきゃならないコトがあるのデス……」", "205060311_7": "「切ちゃん……」", "205060311_8": "「家になかったとなると、\\n やっぱり考えられるのはここしかないデス……」", "205060311_9": "「む? どうしたんだ、切歌くん?\\n 深刻そうな顔をしているが……」", "205060311_10": "「司令……」", "205060311_11": "(……うう、恥ずかしすぎデスが、\\n 見つからない以上、ここは断腸の思いで聞くしかないデスッ!)", "205060311_12": "「あ、あの……便箋を……見かけなかったデスか……?」", "205060311_13": "「便箋……? ……ああ、そういえばさっき翼とマリアくんが、\\n 便箋らしきものを持ってシミュレータールームに――」", "205060311_14": "「――た、大変デスッ!\\n 情報、ありがとうございましたデスッ!」", "205060311_15": "「あッ、お、おい――行ってしまったか」", "205060311_16": "「へえ、これが……」", "205060311_17": "「……そんなにまじまじと見るな。\\n 珍しいものでもないだろう?」", "205060311_18": "「フフ、どんな顔をして読むのか、少し興味があるわ」", "205060311_19": "「マリア……ちょっと趣味が悪いぞ?」", "205060311_20": "「――って、ちょっと待ったデースッ!」", "205060311_21": "「な……ッ!?\\n ……なんだ、暁か。驚かせるな」", "205060311_22": "「どうしたの? そんなに息せき切って」", "205060311_23": "(翼さんが持っているアレは……ッ!)", "205060311_24": "「そ、その手紙、こっちに渡すデスッ!」", "205060311_25": "「な、なに……ッ!?」", "205060311_26": "「切歌。あなた、突然、何を言い出すの?」", "205060311_27": "「事情を説明するわけにはいかないデス……ッ!\\n とにかく、それを読ませるわけにはいかないデスッ!」", "205060311_28": "「……何を考えているのかは知らないが、それはできないな。\\n これは、わたしにとってとても重要なものだ」", "205060311_29": "「……ッ、翼さんがそんな人とは思っていなかったデスッ!」", "205060311_30": "「え……? ……ね、ねえ、切歌?\\n あなた、何か勘違いを――」", "205060311_31": "「……やめておけ、マリア。暁のあの目は――\\n 一歩も譲ることができない、覚悟の決まった瞳だッ!」", "205060311_32": "「わかっているのなら、話は早いデス……。\\n こうなったら――勝負するしかないデスッ!」", "205060311_33": "「どうやら受けて立つしかないようだな。\\n ……いいだろうッ! かかってこいッ!」", "205060311_34": "「これは――絶対に負けられない戦いなのデスッ!」", "205060311_35": "「その意気や、良しッ!\\n 全力で迎え撃たせてもらうッ!」", "205060311_36": "「ちょ、ちょっとふたりとも……ッ!?\\n ――もうッ、知らないんだからッ! 勝手に戦いなさーいッ!」" }