{ "206080111_0": "怒りのッ!カンフー3姉妹:前編", "206080111_1": "「揃ったな。準備はいいか?」", "206080111_2": "「ばっちりデスッ!」", "206080111_3": "「ああ、新しい修行に向けて気合い十分だ」", "206080111_4": "「でも、どんなことをするんだい?」", "206080111_5": "「なんとか心象変化できたとは言え、\\n 出力不足だったわけだし……」", "206080111_6": "「ああ。戦うことだけを意識しても、\\n 見せることだけを意識しても、うまくいかなかった」", "206080111_7": "「ならば、その両方を同時に行うまでッ!\\n 映画を撮るぞッ!」", "206080111_8": "「えーっと……どういうことデスか?」", "206080111_9": "「カンフー映画は、本格的な戦闘と人に見せるための\\n エンターテイメント性が融合したすばらしい作品だッ!」", "206080111_10": "「その出演者となることで、効率的にチャイナ型ギアの\\n 出力を上げようというわけだ」", "206080111_11": "「それっぽい理由並べてるけどよ。要はおっさんの趣味に\\n あたしたちを巻き込みたいだけじゃないのか……?」", "206080111_12": "「そんなわけないだろう。\\n 俺が考えているのは、常にお前たちの成長だッ!」", "206080111_13": "「……本当かよ?」", "206080111_14": "「いいじゃないか。地道に修行をするより楽しそうだッ!」", "206080111_15": "「1度映画に出てみたかったデスッ!」", "206080111_16": "「こっちはすでにやる気かよ……」", "206080111_17": "「でも、映画を作るとなると大変じゃないのか?\\n よくわからないけど、セットとか機材とか」", "206080111_18": "「心配はいらない。今回の目的はあくまで出力の引き上げ。\\n 映画の撮影をするとは言ったが、形式的なものだ」", "206080111_19": "「撮影はすべてシミュレータルームで行う」", "206080111_20": "「だがもちろんッ! お前たちにやる気があれば、\\n 本格的な機材をそろえるぞッ!」", "206080111_21": "「いや、適当なやつでいい……」", "206080111_22": "「そ、そうか……」", "206080111_23": "「では、撮影を開始するぞ。\\n 台本は各々確認しながら進めるんだ」", "206080111_24": "「ここは、とある時代の中国――」", "206080111_25": "「いきなり謎のナレーションデスッ!?」", "206080111_26": "「聞いたことのある声だね」", "206080111_27": "「物語の主人公は――、\\n 寺に拾われ、育てられた奏、クリス、切歌の3姉妹」", "206080111_28": "「3人は父の仇である暗黒街のボスを倒すため\\n 麻薬捜査官となって日々修行を積んでいた……」", "206080111_29": "「……いろいろ盛り込みすぎじゃねえか?」", "206080111_30": "「ダンナが用意した台本だからねえ。\\n カンフー映画の設定がツギハギされてるようだ……」", "206080111_31": "「姉上ッ!」", "206080111_32": "「ん?」", "206080111_33": "「姉上ッ! もう修行の時間デスよッ!\\n もっと強くなって父の仇を必ず討つデス……ッ!」", "206080111_34": "「あ、もう始まってたのか?」", "206080111_35": "「入り込むの早すぎんだろッ!」", "206080111_36": "「ある日、3姉妹は偶然見つけた洞窟で運命的な\\n 出会いを果たす……」", "206080111_37": "「そ、そこに誰かいるんデスか?」", "206080111_38": "「……こんな所に人が来るのは珍しいな。\\n 俺を痛めつけに来たか、それともよほどの物好きか」", "206080111_39": "「おっさんも登場すんのかよ」", "206080111_40": "「こっちもすでにだいぶ入り込んでるね……」", "206080111_41": "「……クリス先輩、出番デスよ」", "206080111_42": "「う……やればいいんだろッ!」", "206080111_43": "「えっと……ど、どうしたんだー?」", "206080111_44": "「もっと感情を込めてやるデスッ!\\n アタシたちは復讐に燃える3姉妹なんデスよッ!」", "206080111_45": "「わかったよッ!」", "206080111_46": "「どうしたんだ?\\n 鎖につながれて……何かあったのか?」", "206080111_47": "「ただの物好きのようだな」", "206080111_48": "「俺は、あまりの強さゆえに寺の者から疎まれ、\\n 騙されてここに繋がれてしまったんだ」", "206080111_49": "「すると、達人デスッ!?」", "206080111_50": "「そう呼ぶ者もいたな」", "206080111_51": "「……」", "206080111_52": "「次デスよ」", "206080111_53": "「あ、次はあたしか」", "206080111_54": "「へえ、かわいそうに……。なあ、\\n この人に食べ物を持ってきてやらないか?」", "206080111_55": "「食べ物どうぞデス」", "206080111_56": "「いいのか?」", "206080111_57": "「ああ。こんなところで繋がれていたら\\n お腹がすいてかわいそうだろ?」", "206080111_58": "「本当に物好きなやつらだな。\\n 気に入ったッ!」", "206080111_59": "「お前らに、俺のカンフー奥義を伝授してやろう」", "206080111_60": "「うれしいデスッ!\\n これからは師父と呼ばせてもらうデスッ!」", "206080111_61": "「なあ、これっていつまで続くんだ?」", "206080111_62": "「さあ……? ハッピーエンドになるまでじゃないか?」", "206080111_63": "「さあ、特訓だ。お前たちにはアレと戦ってもらう」", "206080111_64": "「あれって……さては木でできた人形デスかッ!?」", "206080111_65": "「そういやそんなシーン見たことあるな……」", "206080111_66": "「来たぞッ! あれかッ!」", "206080111_67": "「ただのノイズか。\\n でもちょっと期待はずれだな」", "206080111_68": "「そう言うなよ。普通の特訓がしたかったんだろ」", "206080111_69": "「せい――ッ!」", "206080111_70": "「それもそうだなッ!\\n いつも通り、蹴散らしてやるッ!」", "206080111_71": "「父の仇を討つために――、\\n やってやるデスッ!」", "206080111_72": "「こうして3姉妹の厳しい修行が始まったのだった――」" }