{ "397000822_0": "「ハァ、ハァ、ハァ……ッ!」", "397000822_1": "「……頑張りますね。\\n 耐えたところで、意味なんてないのに」", "397000822_2": "「ドッペルゲンガーもノイズも、すべて倒しましたッ!\\n 残るはあなただけですッ!」", "397000822_3": "「ああ、すみません。", "397000822_4": " ……勘違い、させてしまいましたね」", "397000822_5": "「え?」", "397000822_6": "「きゃああッ!?」", "397000822_7": "「手勢をけしかけているからといって……。わたしが、\\n あの子たちよりも弱いなんて、ひと言でも言いましたか?」", "397000822_8": "「お、重い……ッ!\\n なんて打撃なの……ッ!!」", "397000822_9": "(この人……強いッ!)", "397000822_10": "「く……ッ!\\n 明らかに、ただの義手じゃない……ッ!」", "397000822_11": "「気をつけてください、セレナ……。あの武装にはなんらかの\\n かたちで聖遺物が使われている可能性があります……ッ!」", "397000822_12": "「聖遺物……ッ!?」", "397000822_13": "「さすがは聖遺物研究の権威、ナスターシャ博士」", "397000822_14": "「けれど、それがわかったところで、\\n どうにかなるものでもないでしょう?」", "397000822_15": "「苦しめるのは、趣味ではないのですが。", "397000822_16": " ――抗うのなら、致し方なしです、ねッ!!」", "397000822_17": "(疾くて、鋭い。まるで刃物みたいな拳……ッ!\\n でも、わたしだってマリア姉さんたちに鍛えられてきたッ!)", "397000822_18": "(隙は必ずできるはず……そこを狙うッ!)", "397000822_19": "「ハ――ッ!」", "397000822_20": "「見えていました、右の大振りッ!!」", "397000822_21": "(これを回避して、死角に潜り込む――ッ!)", "397000822_22": "「――ッ!?\\n しまったッ!」", "397000822_23": "「ここですッ!」", "397000822_24": "「――なぁんて、ね」", "397000822_25": "「嘘、避けられ……ッ!?」", "397000822_26": "「ああああぁ――ッ!」", "397000822_27": "「馬鹿みたいに素直な子ですね。\\n だから、救えるものも取りこぼすんですよ」", "397000822_28": "「く、ぅ……ッ!」", "397000822_29": "「セレナ……ッ!」", "397000822_30": "「セレナッ、しっかりしろッ!\\n おい、セレナ……ッ!」", "397000822_31": "「マ、ム……ヴェイグさん……」", "397000822_32": "(わたし……みんなを護れなかった……)", "397000822_33": "「……他愛ないですね」", "397000822_34": "(姉、さん……――)", "397000822_35": "「――ッ!」", "397000822_36": "「……マリア?\\n どうかした?」", "397000822_37": "「……いえ。\\n 気のせい……だと思うわ」", "397000822_38": "「そう?」", "397000822_39": "「ええ……」", "397000822_40": "(……何かしら、今の、酷い悪寒。\\n この嫌な予感は……なに?)" }