{ "505000911_0": "第9話『王の出現』", "505000911_1": "「…………」", "505000911_2": "「……失望したぞ」", "505000911_3": "「――ッ!?」", "505000911_4": "「貴様も弦十郎と同じ、オルフェノクになり切れず\\n 人間という暗愚にとどまるか」", "505000911_5": "「暗愚だと……?」", "505000911_6": "「あ、あの……\\n 今さらですけど、暗愚ってなんですか?」", "505000911_7": "「馬鹿ってことだよ、バカッ!」", "505000911_8": "「ひ、ひどいですッ!\\n 人間をバカにするなんてッ!」", "505000911_9": "「司令は決して人の心を捨てていなかった。\\n 世界を……命を美しいと感じる心……」", "505000911_10": "「人間だけに与えられた祝福をッ!」", "505000911_11": "「祝福……?」", "505000911_12": "「フフフ……笑止ッ!", "505000911_13": " この世で最も醜悪で呪われた存在、それが人間だ」", "505000911_14": "「なぜですッ!?\\n かつては風鳴一族の当主として……」", "505000911_15": "「この国を守護するために戦い続けたあなたが、\\n なぜそこまで人間を憎むのですッ!」", "505000911_16": "「防人としての崇高な理念は、\\n どこへ消えてしまったのですかッ!」", "505000911_17": "「……貴様たちにはわかるまい。\\n 儂がどれだけの永きに渡り戦ってきたか」", "505000911_18": "「どれほど多くの血を流して来たかッ!\\n その血、まさに大河に匹敵する」", "505000911_19": "「そんな、大げさな……」", "505000911_20": "「だが、好転しない戦況に\\n それまでずっと俯いていた愚民どもが石を拾った」", "505000911_21": "「奴らはその石をどうしたと思う?\\n 儂に向けて投げたのだ」", "505000911_22": "「自らは敵と戦う事もできぬ、\\n 卑劣で姑息な大衆が、儂を責めるために……ッ!」", "505000911_23": "「…………」", "505000911_24": "「なんという愚行……まさに衆愚ッ!\\n 儂は絶望の中で悟ったのだ」", "505000911_25": "「人間は本当に、護るべき存在なのか……?」", "505000911_26": "「そうだ……滅ぼされるべきは人間ッ!\\n オルフェ・ノイズは天敵などではなかった」", "505000911_27": "「腐った命を浄化し、次なる進化の胎動へと……\\n オルフェノクへと導く天の遣いだとッ!」", "505000911_28": "「あなたは間違っているッ!\\n 滅ぼされるべき命など存在しないッ!」", "505000911_29": "「確かに人間は……\\n 愚かなマネもする弱い生き物です」", "505000911_30": "「だけど、その弱さがあるからこそ、\\n 人は成長することができるんじゃないですか?」", "505000911_31": "「そうだ……だからこそあたしも、\\n 風鳴司令も生まれ変わることができた」", "505000911_32": "「命を滅ぼすためじゃなく、\\n 命の……美しさを知るためにッ!」", "505000911_33": "「戯れ言をッ!」", "505000911_34": "「貴様たちにわかってたまるものかッ!\\n 儂の絶望の深さを……ッ!」", "505000911_35": "「儂はオルフェ・ノイズを受け入れ、\\n オルフェノクの王となった」", "505000911_36": "「衆愚を、粛清するために……ッ!」", "505000911_37": "「――ッ!?」", "505000911_38": "「こ、怖い顔が……もっと怖くッ!」", "505000911_39": "「見るがいい、これが……」", "505000911_40": "「オルフェノクの、王の姿だ……ッ!」", "505000911_41": "「お、おじいさま……ッ!」", "505000911_42": "「あ、あれが……ッ!」", "505000911_43": "「オルフェノクの、王……ッ!」", "505000911_44": "「滅びよ、人間……ッ!」" }