{ "505000731_0": "「はああぁぁぁッ!」", "505000731_1": "「グッ……!\\n こ、こんな……こんなことがッ!」", "505000731_2": "「風鳴弦十郎ッ!\\n 人であることを捨てた、堕ちた英雄よッ!」", "505000731_3": "「せめて、このわたしの手で……ッ!」", "505000731_4": "「ぐわあああぁぁぁぁッ!」", "505000731_5": "「がはッ……!」", "505000731_6": "「や、やった……ッ!」", "505000731_7": "「はあ、はあ……」", "505000731_8": "「フ、フフ……見事だ……」", "505000731_9": "「ようやく取り戻したようだな……\\n 防人の……心を……」", "505000731_10": "「え……?\\n し、師匠……ッ!?」", "505000731_11": "「…………」", "505000731_12": "「やはり、そうだったのですね……」", "505000731_13": "「あなたは最初から、\\n わたしたちに何かを伝えようと……」", "505000731_14": "「ど、どういうことですかッ!?」", "505000731_15": "「フ、フフ……礼を言うぞ。\\n うれしいものだな……」", "505000731_16": "「人生の最後の瞬間に、\\n 自分が育てた者に礼が言えるというのは……」", "505000731_17": "「師匠……」", "505000731_18": "「…………」", "505000731_19": "「俺は、オルフェノクの力に飲み込まれた。\\n その圧倒的な苦痛……圧倒的な快楽……」", "505000731_20": "「だからこそわかる。\\n オルフェノクは人間の進化形などでは……ない」", "505000731_21": "「人間は時に笑い、時に泣き、時に祈り……\\n そして、時に絶望する……」", "505000731_22": "「そうして尚、絆を繋いでいく命……」", "505000731_23": "「オルフェノクとは、そんな命を失った人間の\\n 哀れな末路……『無』だ」", "505000731_24": "「『無』……人間の末路……」", "505000731_25": "「そう……終わりなき無の地獄……」", "505000731_26": "「人間はいいな。\\n 終わりがあるからこそ、命は美しい」", "505000731_27": "「人間のままでいろ。\\n お前たちなら……きっと……」", "505000731_28": "「師匠おおぉぉぉッ!」", "505000731_29": "「…………」", "505000731_30": "「あなたも、人間でした……」", "505000731_31": "「だからこそあなたは、魂を……\\n 死してなお、わたしたちに想いを……」", "505000731_32": "「うぅぅ……師匠ッ!\\n 師匠はやっぱり、師匠でした……ッ!」", "505000731_33": "「ああ。そしてわたしと同じ\\n 風鳴の名を持つ、偉大なる防人……」", "505000731_34": "「ありがとうございます、風鳴弦十郎。\\n どうか、安らかに……」" }