{ "394000521_0": "「世界蛇とベアトリーチェ、ニコラ・テスラやイシムのような、\\n 複数の世界を捻じ曲げる大きな力が、幾度も振るわれているわ」", "394000521_1": "「それらの力やギャラルホルンの機能によって、\\n 本来交わるはずのない並行世界が触れ合い続けている」", "394000521_2": "「結果として、並行世界の在り方そのものが、\\n 以前と変わってきている――そんな可能性があるの」", "394000521_3": "「並行世界の在り方……。\\n わたしたちが何度も世界を渡ったから、変化が起きてる……?」", "394000521_4": "「でも変化ってなんなんだろう。\\n 同じように戦っていていいのかな……」", "394000521_5": "「ギギッ! ギギィッ!!」", "394000521_6": "「ああ、ごめんねギギ。", "394000521_7": " ちょっと考え事をしてたんだ」", "394000521_8": "「ギィッ!」", "394000521_9": "「いいよ、おいでッ!\\n ほらほらーッ!」", "394000521_10": "「ギッ!\\n ギギィッ!」", "394000521_11": "「ロープを使って綱引きか?", "394000521_12": " もしかして……遊んでるのか?」", "394000521_13": "「はい。響の提案で、複雑な方法じゃなく、\\n わかりやすい方法でコミュニケーションをとってるんです」", "394000521_14": "「なるほど。引っ張りっこするのに、\\n 星も言葉も関係ないだろうな」", "394000521_15": "「ギギッ! ギッ!」", "394000521_16": "「ん? なんだよ」", "394000521_17": "「ギギが奏さんにも遊んで欲しいそうです」", "394000521_18": "「何を言ってるかはわからないけど、それっぽいな。", "394000521_19": " ……そのギギってのはこいつの名前か?」", "394000521_20": "「はいッ! ずっとギギギギーって喋ってるので、\\n ギギって呼ぶことにしましたッ!」", "394000521_21": "「そのまんまだな……。\\n いいのか、ギギ?」", "394000521_22": "「ギギッ!」", "394000521_23": "「ま、お前が納得してるならいいよ。", "394000521_24": " ――それで、どうしたんだ?」", "394000521_25": "「ギギィ? ギギ?」", "394000521_26": "「……本気であたしと遊びたいのか?」", "394000521_27": "「そうみたいですね」", "394000521_28": "「しょうがない、か……。\\n 全く、こうやって懐かれると愛着がわいちまうね」", "394000521_29": "「ギギッ!」", "394000521_30": "「はいはいわかったわかった。\\n 相手になってやるよッ!」", "394000521_31": "「ギギギギギィッ!」", "394000521_32": "「ハハッ!\\n 小さいくせに踏ん張るじゃないかッ!」", "394000521_33": "「ギギィッ!」", "394000521_34": "「ほう、力比べか?」", "394000521_35": "「ギギッ!?」", "394000521_36": "「……む?\\n どうした?」", "394000521_37": "「ギギ、\\n 隠れちゃったみたいで」", "394000521_38": "「もしかして師匠が怖いんですかね?」", "394000521_39": "「ギギィ……」", "394000521_40": "「特に何かした覚えはないが……。\\n 確かに怯えられているようだな」", "394000521_41": "「あの時のスーツを着た師匠、\\n 迫力がすごかったので……」", "394000521_42": "「ギギも、\\n びっくりしたのかもしれないですね」", "394000521_43": "「気合いが入っていたことは認めるが、\\n そこまでの衝撃だったか……」", "394000521_44": "「ギギィ……」", "394000521_45": "「うーん、わたしたちみたいに引っ張り合いをしても、\\n 師匠が相手じゃ遊びにならないし……」", "394000521_46": "「そうだッ!\\n 師匠、ちょっとお手を拝借ですッ!」", "394000521_47": "「こう、か?」", "394000521_48": "「はいッ! このまま――、\\n しーしょうのこーぶしはてーつのけーんー」", "394000521_49": "「ほう、手遊びかッ!」", "394000521_50": "「手遊びにしちゃ物騒な歌だね……」", "394000521_51": "「でも、ギギは気にしてるみたいです」", "394000521_52": "「ギギ……?」", "394000521_53": "「あ、見てます見てますッ!\\n やっぱり身体を動かすわかりやすい遊びは伝わりますねッ!」", "394000521_54": "「なるほどな。異なる文化と、\\n コミュニケーションを取る方法か」", "394000521_55": "「ギギ……」", "394000521_56": "「こうして興味のあるものに近づいてくるところを見ると\\n 本当に子供のようだな」", "394000521_57": "「ギギィ」", "394000521_58": "「……そうか。ならば、こうすべきか。", "394000521_59": " 今まで見下ろしてばかりですまなかったな、ギギ」", "394000521_60": "「弦十郎さん、\\n ギギと視線を合わせてる……」", "394000521_61": "「そうだな、子供ってのは上から喋ると怖がるもんだ」", "394000521_62": "「俺は風鳴弦十郎という。\\n 異星から来た隣人よ、俺とも友好を結んでくれるか?」", "394000521_63": "「ギ……ギギッ!」", "394000521_64": "「あ、師匠を触ってるッ!」", "394000521_65": "「筋肉をつんつんしてるね。\\n 気になるのかな……?」", "394000521_66": "「あの細い身体には、\\n ダンナの太い腕が珍しいんだろうさ」", "394000521_67": "「ならばギギ、\\n お前も鍛えてみるかッ?」", "394000521_68": "「ギギッ!?」", "394000521_69": "「逃げられてしまったか。\\n 興味が出たら来るといい、いつでも歓迎するぞッ!」", "394000521_70": "「というか師匠、\\n なんの用事だったんですか?」", "394000521_71": "「おっと、そうだったな。\\n 実はRN式ヒーロースーツを俺のために調整してくれたそうでな」", "394000521_72": "「試運転でもしてみるかと、\\n お前たちを誘いに来たんだ」", "394000521_73": "「ヒーローになった師匠と訓練……ッ!", "394000521_74": " 胸をお借りしますッ!」", "394000521_75": "「少し身体がなまってたところだ。\\n あたしもつき合わせてもらうよ」", "394000521_76": "「トレーニングルームを借りられるか、\\n 二課の人に聞いてみますね」", "394000521_77": "「お前も見に来るか、ギギ?」", "394000521_78": "「ギィッ!」" }